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ワクチンの本当の効果

 この記事は、☝️の動画の日本語訳文字起こしです。

TED Talks

クリスティン・スタベル・ベン博士

原題『ワクチンが免疫システムを鍛える誰も期待しなかった方法』

 あなたが自分の赤ちゃんにあげる一番大切なものって何でしょう?

 全ての子どもが必要としているものは何?

 愛?

 食べ物?

 私の答えはみなさんと少し違うかもしれません。

 私の意見では、みなさんが子どもに与えることができる最も大切なものの一つは、ポリオの生ワクチンです。(笑)

 なぜかお話ししましょう。

 私は医学博士で研究者、過去25年間小さな西アフリカの国ギニアビサウで働いてきました。

 この写真で私は看護師ジーナと一緒に産科病棟にいます。小さな女の赤ちゃんがベビーベッドに寝ています。彼女は昨晩生まれました。

 彼女の名前をお伝えできればいいのですが、まだ彼女に名前はありません。

 ギニアビサウの母親が子どもに名前をつけるのはまだ先です。

 赤ちゃんが亡くなるリスクが高いことを知っているからです。

 現在、15人に1人の新生児が生きて1歳の誕生日を迎えることができません。

 これは小さな女の子がポリオ生ワクチンを摂取されているビデオです。

 数滴の弱毒化されたポリオウイルスが数滴口に入れられます。

 現在の一般的なワクチンの理解によれば、これは彼女の生死のリスクに関係がないと思われるでしょう。なぜならギニアビサウにはポリオがないから

 しかし私たちの研究では生ワクチンは彼女の免疫システムを鍛え、他の全ての病気にとても強くなることが示されています

 そしてこれは彼女の死亡リスクを大きく下げるのです。

 あなたの赤ちゃんの免疫システムを鍛えて全ての種類の病気と戦えるようにしてくれるスーパーワクチンを、誰がいらないなんて言うでしょう?

 なぜあなたは聞いたことがないのでしょう?

 私の見解では、その大きな理由の一つはワクチン支持者とワクチン懐疑者の対立です

 議論は白か黒かです。ワクチンはいいか、悪いか。

 新しい視点の入る余地はありません。私たちの研究成果が入る余地もありません。

 しかしこれから15分間、あなたがワクチンについて持っているどんな意見もちょっとわきに置いて、私たちが発見したことをお伝えさせてください。

 ギニアビサウに、私たちは研究拠点を持っています。私たちは20万人の人々を追跡調査しています。家庭を訪問し、全ての出産、ワクチン接種、入院、そして全ての子どもの死を登録しています。

 この情報をもとに、私たちは他の誰もまだやったことがないことを始めました。

 ワクチンの健康全体への効果を評価したのです。

 驚きかもしれませんが、ワクチンの健康全体への影響はこれまで検討されていないのです。ワクチンは目的とする病気に対する予防効果だけが検討されています。

 ワクチンが持つのは目的とする病気の予防効果「だけ」だと全ての人が強く確信してきたので、健康全体への効果は検討する必要がないように思われてきたのです。

 しかし私たちがワクチンの健康全体への影響を調査し始めた時、何かが間違っていることがすぐに明らかになりました。

 この方程式には明らかに何かが欠けていたのです。

 なぜならこれまで言われてきた特定の病気への予防効果より健康全体にずっと大きな効果を持つワクチンがあるからです。

 一方、期待ほどの効果を持たないワクチンもあります。

 私たちはワクチンが他の病気へのリスクにも影響することに気づいたのです。

 いくつかのワクチンには『非特異的な』効果があります。(訳者注:『非特異的な効果』とは、ワクチンが目的とする病気以外、例えばポリオワクチンならポリオ以外の病気への効果のこと)

 この気づきによって、私たちは子どもへのワクチン投与をより正確に見ることができます。

 私たちはワクチンの非特異的な効果に光を当てたかったのです。

 私たちが発見したことをお伝えする前に、お話ししなくてはならない重要なことがあります。

 ワクチンには大きく2つのタイプがあります。

 生ワクチンと非生ワクチンです。

生ワクチン:ポリオ生、麻疹、BCG、天然痘(種痘)

非生ワクチン:DTP(三種混合)、B型肝炎、インフルエンザ、HPV(子宮頸がん)

 これらは根本的に異なるものです。

 生ワクチンは弱毒化された病原体(菌やウイルス)を少し含み、体に軽い自然な感染を起こさせます。感染はとても軽いので普通は全く症状を起こしません。

 これらの生ワクチンは免疫システムを刺激するのがとても得意です。

 だから1回の接種で十分な予防効果があることが知られています。

 非生ワクチンも病原体を含みますが、病原体は既に殺された後です。

 非生ワクチンは免疫システムを刺激するのが上手ではありません

 だから予防のためには何回も同じワクチンを打つ必要があります

 しかし非生ワクチンの長所としては実際の病気を起こすことは決してありません。免疫システムがとても弱い人々に対しても。

 だから多くの医師は生ワクチンより非生ワクチンを好みます。

 現在、新しく開発されるワクチンの多くは非生ワクチンです。

 あなたが生まれた時、あなたの免疫システムは感染症と戦う初心者です。

 それはまるでテニスコートに初めて立った人のようなものです。テニスの仕方を習わなくてはなりません。

 実際の感染症は、とても手強い相手です。あなたを打ちのめし、命のテニスコートから追い出してしまうかもしれません。

 生ワクチンはテニスコーチのようなものです。あなたを試しストロークを鍛えるためにコートを走らせます。

 一方、非生ワクチンはテニスボールマシーンに例えられます。一つの決まったスピードのボールが、決まったコースに来た時の特定の打ち方だけを学べます。

 どちらのタイプのワクチンも目的とする病気への免疫をつくりますが、非特異的な効果がとてもとても大きく異なることが分かったのです。

 ここで私があなたのワクチンについての意見を15分間わきに置いておいてくださいと言ったことを思い出してください。

 私たちは今まで10種類のワクチンの非特異的な効果を評価してきました。

 4つの生ワクチンと、6の非生ワクチンです。

 その結果は、とても一貫したものでした。

 全ての生ワクチンはとても有益な非特異的な効果を持っています。

 生ワクチンはその予防効果によって期待されるより大きくはるかに健康全体を改善していたのです。

 それはまるでテニスコーチとプレイすることであなたは広く多様な技に対応できるようになって、将来対戦する全ての相手と戦えるようになるようなものです。

 一方、非生ワクチンは全て悪い非特異的な効果を持っています

 非生ワクチンは予防効果から期待されるほど健康全体を改善せず、事実、健康全体に悪影響を持っているのです。

 例えにもどれば、テニスボールマシーンで一つの特定のストロークだけ教わることは、練習していない様々なボールを打ってくる実際の相手と対戦するには準備不足であり、かえって悪い影響があるということです。

 私たちの研究家から2つの例を挙げます。

 まず生ポリオワクチンです。

 私がはじめに言いましたように、ワクチンの健康全体への効果を期待している人は誰もいませんでした。なぜならポリオはほぼ根絶されているから。

 しかし私たちがギニアビサウで生ポリオワクチンをテストした時、私たちは新生児のランダム化試験を見ました。

 生ポリオワクチンを接種された新生児の死亡率は、誕生時に生ポリオワクチンを接種されなかった子どもと比較して1/3低かったのです。

 この死亡率に与える生ポリオワクチンとても大きな効果は明らかに純粋に非特異的です。ポリオはありませんから。

 つまり生ポリオワクチンは赤ちゃんたちを強くして他の全ての病気とより戦えるようにしたのです。

 このとても有益な生ポリオワクチンの非特異的効果は、今では他の多くの研究でも確認されています。更なる研究で他の生ワクチン、麻疹・結核(BCG)・天然痘(種痘)のワクチンにもとても有益な非特異的効果があることが分かっています

 全ての生ワクチンは広い範囲の病気に対する抵抗力を増すというボーナス付きに見えます。

 次に非生ワクチンの例を見てみましょう。

 DTP(三種混合)ワクチンについて話します。

 DTPは重大で死の危険のある3つの病気に対するワクチンです。

 ジフテリア、破傷風、百日咳です。

 私たちがDTPワクチンを研究する以前、その予防効果だけが研究されていました。

 ある研究で私たちは歴史的なデータに立ち戻りました。

 ギニアビサウではDTPワクチンは1980年代から導入されました。

 その結果は恐ろしいものでした

 3つの死の危険のある病を予防効果にもかかわらず、DTPの導入は全体の死亡率の増加と関連していました。

 DTPワクチンを受けた子どもの死亡リスクは受けなかった子より5倍高かったのです。

 これはDTPワクチンについてされた多くの研究の一つに過ぎません。

 全ての研究が同じ結果でした。

 DTPワクチンを受けた子どもの死亡リスクはDTPを受けなかった子より高いのです。

 だからDTPワクチンが悪い非特異的な効果を持つことは明らかです。

 3つの死につながる病気の予防の代償はとても高く、文字通り死のリスクを上げているのです。

 だから、良かれと思ってDTPワクチンの使用は子どもたちを救う以上に殺しているのかもしれません。

 これらの結果が極度に不快であることはわかっています。

 多くの人々は、私も含め、ただこれが真実でければいいと希望します。

 しかしこれがデータが私たちに伝えていることです。

 なぜかDTPワクチンの悪い効果は女の子に最も強く現れました。

 それは他の全ての非生ワクチンに見られたパターンです。

 つまり6種類全ての非生ワクチンで、女児にとても強い悪い非特異的な効果が見られたのです。

 なぜかはまだわかりません。

 私たちの発見は一つの文で要約できます。

 私たちはワクチンが免疫システムを誰も期待していなかった方法で鍛えていることを発見したのです。

 全体として、研究者としての観点ではこれらの結果はすばらしいものです。

 なぜなら免疫システムへの全く新しい理解を開いてくれたからです。

 私たちは免疫システムをとてもシンプルだと考えていましたが、それは私たちが今まで想像していたよりはるかに複雑で賢いのです。

 まるで脳のように。

 その発見はさらに完全に新しい疑問をもたらしました。

 私たちがそれまで考えても見なかったことです。例えば...

 男の子と女の子は違うワクチンを受けるべきか?

 そうかもしれません。

 その病気が根絶された後も、生ワクチンを免疫トレーナーワクチンとして使うことを考えるべきか?

 これは本当に新しい研究発見の特徴です。

 新しい発見には新しい疑問をもたらす力があるのです。

 この発見は本当にとても多くの新しく興味深い道へと繋がっています。

 しかしそれらは今ここで健康へとても重大な影響を持っています。

 なぜならこの新しい知識で私たちはワクチン接種プログラムをはるかにより効果的に企画することができるからです。 

 私たちは実際に同じお金ではるかに健康になれます

 オーストラリアのフランク・シャン教授はこれらの観察に基づいて低所得国の現行のワクチンスケジュールを修正した場合、同じ現存するワクチンを使って、

ただ非生ワクチンより生ワクチンを重要にするだけで、毎年110万人の子どもの命を救うことができる

 と計算しています。

 毎年110万人の子どもたちとは、毎日3,000人以上の子どもたちを救えるのです。

 ワクチンプログラムの小さな修正によって。

 あなたは自分がいる高所得国では影響があるのだろうか?と疑問に思うかもしれません。

 あります。

 幸いなことに、高所得国では感染症で死亡するリスクは低いですが、入院する人は多くいます。

 私たちや他の研究者は今、ワクチンの非特異的な効果の入院への影響を調べ始めました。

 私たちは全く同じパターンを発見しました。

 例えばアメリカからの最新研究では、ある生ワクチンを受けた子どもは非生ワクチンを受けた子に比べて半分の入院リスクしかありません

 だから高所得国でも私たちは自分の免疫を鍛えてあらゆる病気に対してより強くなることは可能なのです。生ワクチンを使うことで。

 これはさらに違うタイプの病気に影響する可能性もあります。免疫システムに基づくより慢性的な病気です。喘息、アレルギー、自己免疫疾患、糖尿病、心臓病、さらに様々な癌まで。

 私がお話ししているのは、この新しい知識で私たちは低所得国で何百万人もの子どもたちを救い、高所得国で病気の負担を著しく減らせるということです。

 そしてこの知識はワクチンを最大の未使用の資源にします。

 世界全体の健康をよりよくするために。

 そろそろ「でも」が来るぞ、と思うでしょう。

 その通りです。(笑)

 そんなに簡単だったらいいのですが、世界に話を聞いてもらうのはとても難しい時代です。

 誰も今までにワクチンが予防効果だけを持つと証明してはいません。

 私たちは今までに25年間、ワクチンが重要な非特異的な効果を持つと示すデータを蓄積してきました。

 それでも、世界は特定の病気の予防効果だけに焦点を当てています。

 私たちの研究結果はまだ受け入れられていません。

 私は何年もの間、文字通り自分の髪の毛をかきむしってなぜこうした期待の持てる結果を認めさせるのがこんなに難しいのか?と考えを巡らせてきました。

 そして私はその主な理由が二極化されたワクチン議論だと考えています。

 これらの発見に反応し何かをなす力がある人々、世界保健機関(WHO)や健康の権威たちは、全てワクチン支持者です。

 そして私の解釈では、彼らは私たちの発見を受け入れたがりません

 発見はある種のワクチンが有害である可能性を暗示するからです。

 だからただ全てを却下する方が簡単なのです。

 一方でワクチン懐疑者は、私たちの非生ワクチンの研究結果が自分たちの最大の恐怖を確認したと考えるかもしれません。

 「ワクチンは有害になり得る」と。

 しかしワクチン懐疑者はワクチンの有益な効果については受け入れたがらないかもしれません。

 そしてそうした人々が悪い効果にばかり焦点を当てることは、ワクチン支持者をより頑固にさせるかもしれません。

 私の意見では、どちらが正しくどちらが間違っているということはありません。

 どちら側も新しい視点を見逃しているのです。

 そうしている間にも、時計の針はチッチッと進んでいきます。

 最悪なことに、私たちは何百人もの子どもたちを救える潜在能力を逃しているのです。

 小さなワクチンプログラムの変更をするだけなのに。

 さらに自体は間違った方向に進んでいます。

 生ワクチンは中止され、より多くの非生ワクチンが開発されています。

 例えば、生ポリオワクチンは高所得国では既に完全に非生ワクチンに切り替えられました

 はじめにあなたがビデオで見た小さな女の子は、もしかすると世界で生ポリオワクチンを受ける最後の一人かもしれません。

 計画では2022年までにポリオ生ワクチンは完全に中止され、非生ポリオワクチンに切り替えられますから。

 手に入る全てのデータに基けば、

『この生ワクチンから非生ワクチンへの世界的な転換は人々の健康の大惨事に繋がります。』

 なので、私は切なる願いを持ってここにいます。

 私たちが既に持っている結果に基づいて、今すぐ行動を起こすことを。

 私は切なる願いを持ってここにいます。

 ワクチンの非特異的効果についてのさらなる研究が行われることを

 私たち研究者は第一歩を踏み出しました。

 今、WHO、健康分野の権威、資金提供団体、産業界からの協力が必要です。

 あなたは手助けができます。(笑)

 最後になりますが、あなたがワクチンについてどの意見を取るかは自由です。

 ただ、あなたが私と一緒に免疫トレーナーとしてのワクチンの新しい時代に参加してくれることを願います。

 あなたが乗ってくれることで、私たちはワクチンのフルパワーの恩恵を得ることに一歩近づけるからです。

 ありがとうございました。

(訳者注:訳者のいしいは必ずしも全ての生ワクチンを推奨するわけではありません。生ワクチンもコストとリスクがあり、本来最も望ましいのは栄養を高め、免疫力を十分に発揮できる状態での自然感染と考えます。また生ワクチンであっても、含有物によって有害にされることはあり得ます。一方で、BCG日本株が世界の多くの国で今騒動になっている感染症に対して圧倒的な力を見せつけているように、毛嫌いするのはもったいない生ワクチンがあることも事実です。それが本当に人の命を救うためのワクチンなのか?それとも逆の狙いを隠したワチクソなのか?供給者の志を見抜くことが大切と考えます)

追記)デンマークでDTPを打たれた子の死亡率は10倍だったという報告も。


 

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