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福島汚染水の海洋放出を止めよう!県庁前&全国で一斉行動開催

【福島から】10年たっても続く健康被害 知事は県民の命と人権を守れ!
福島市・大石 泰子

 4月13日は、政府が東京電力福島第一原発事故による汚染水の海洋放出を決定して1年目の日でした。この日、「原発いらない福島実行委員会」は福島県に対して、この決定にともなう「6月の設備工事着工を認めるな」と、県庁前要請行動を行いました。
 この日は日中の気温が28度の夏日。12時から13時まで、強い日差しの下「福島県は海洋放出を認めるな!」「汚染水を海に流すな!」の横断幕と、思い思いのメッセージボードを持参し、休暇を取得、あるいは昼休みに駆け付けてくれた労働者の方を含め、14名の参加で行いました。前回に引き続き、中国のテレビ局が最後まで取材をしていきました。
 リレートークでは、①ロシアのウクライナ侵攻反対をはじめ、②トリチウムの有害性、③漁業者との約束を反故にする政府への怒り、④事故直後のSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)を隠ぺいし、無用な被曝をさせてしまったばかりでなく、⑤小児甲状腺がんの多発と原発事故との関連を認めようとせず、逆に学校検診を縮小しようとしていること、さらに、⑥東京都国家公務員住宅から避難者を追い出すために提訴までしたという、福島県への怒りが発せられました。
 この10年間、漁業者が試験操業を積み重ね、ようやく本格操業に進もうとしているときに、福島県はここでまた、放射能の拡散と被曝を「風評被害」「漁業補償」に矮小化しようとしています。「ふるさとを返せ! 津島原発訴訟」の原告団の一人であるTさんは、「この間、知人が4人亡くなったとの知らせがありました。10年たっても原発事故による健康被害は起こっている。これが現実です!」と、怒りを込めて訴えました。
 内堀県知事は一貫して原発事故に正面から向き合わず、原発事故の問題を補償問題にすりかえ、福島県民の命を守る立場に立っていません。内堀県知事は、一体どちらを向いているのか。そうした怒りを込めて県庁正面に向かってシュプレヒコールをし、次の要請行動に移りました。
 要請は5人で行い、代表して福島診療所建設委員会事務局長の渡辺馨さんが福島県危機管理部原子力安全対策課・水口昌郁主幹に、内堀福島県知事あての要請書を読み上げ、福島県として海洋放出方針の撤回を政府に対して要求すること、東京電力の進める海洋放出に向けた工事を許可しないよう要請し、改めて以下の要請書を手渡しました。
①内堀知事は、汚染水の海洋放出を認めないでください!
②内堀知事は、東京電力の進める海洋放出実施に向けた工事を許可しないでください!
③内堀知事は漁民の生活を奪うな! 福島県民の命と人権を守れ!
 翌日の朝日新聞には、「漁業者の絶対反対」と「政府の風評対策300億円」の見出し。海洋放水の設備工事は、福島県と立地2町(双葉町、大熊町)が了解しなければ着工できません。福島県知事が「NO」と言えば止めることはできるのです。
 漁業者の「私たちがごねているように見られていないか心配」(4月14日「朝日」)の言葉にあるように、漁業者だけに責任を課してはならないと思います。そのためにより多くの人々が海と命を守るために、反対の声を広げていかなければならないと思います。主義主
張、立場の違いを乗りこえ、共同行動を通して、運動の輪を大きくしていきましょう。

【東京から】内部被ばくを拡散する 海洋放出をやめさせよう
脱被ばく実現ネット・宮口 髙枝

2011年3月、東京電力福島第一原発の爆発事故後、国会周辺には多くの人々が集まり、抗議行動が活発に実施された。
 「子どもが危ない!」「子どもを被ばくから守るには福島から子どもを避難させなければ!」と訴える柳原弁護士の訴えが心に留まり、被ばくから子どもを守ろう! 子どもを疎開させよう!と声を上げる人々が新宿アルタ前や、官邸前で抗議行動を続けてきた。
 こうした人々は、「ふくしま集団疎開裁判」を支え、その後も「脱被ばく実現ネット」として、「子ども脱被ばく裁判」を支援。最近、ようやく原告たちが声を挙げられるようになって始まった「3・11こども甲状腺がん裁判」の支援など、街頭抗議行動も行い続けている。
 国や東京電力は、放射能汚染水を海に流すという暴挙を着々と準備している。
 海は生き物の原点だ。福島の漁民たちをはじめとして、全国の漁民たちの反対を無視するかたちで東京電力は、放射能汚染水は「多核種除去設備=ALPS」で処理した安全な「処理水」だから大丈夫、とキャンペーンを張り、「2023年秋には海洋放出する」としている。
 しかし処理水は、除去できない放射性核種、トリチウム、ストロンチウム90、プルトニウムなどを含む汚染水だ。
 タンクに保管されている汚染水のうち約7割には、トリチウム以外の放射性核種も、「環境に放出する場合の規制基準」を超える濃度で含まれる。東電は、「その量は少ないし、海水で100倍に薄めるから大丈夫だ」と言うが、それは科学的に安全と証明されているわけではない。
 トリチウムは「三重水素」とも呼ばれ、水に溶ける。海に放出された汚染水は、海洋をめぐり、魚介類や海産物に取り込まれ、巡りめぐって人間の体内に取り込まれる。海水は水蒸気となり、雨や雪になって再び地上に降り注ぎ、循環によって、食べ物や酸素は体内に容易に取り込まれ、内部被ばくの悪影響を及ぼす恐れがある。
 放射能汚染水(処理水も同じ)の海洋投棄に反対し、「汚染水を海に流すな全国一斉抗議行動」に連帯して、東京新宿アルタ前から声を挙げました。

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