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【大阪市立高校、府へ無償譲渡】市民の財産軽視する松井市政。卒業生らは違法だと主張し市を提訴

編集部 河住 和美

 「未登記ってどういうこと?」──静まりかえった法廷にざわめきが起こった。
 11月15日、大阪地裁1007号小法廷で行われた「大阪市立高校の無償譲渡」に対する裁判での、松井市長ら被告側弁護人の「市立高校の土地、建物は現在ほとんどが未登記で、これからも登記はしない。議会での議決は、前回の支援学校譲渡でも取っていないので必要ない」という発言に、傍聴者は驚きを隠せなかった。大阪市立高校の土地、建物は市公有財産で、台帳価格には約1500億円とある。市の財産を議決なしで譲渡することに憤る市民は多い。
 市立高校卒業生3人を含む5人で構成される「大阪市民の財産を守る会」は、今年7月に市監査委員に対して住民監査請求を行った。来年4月に行われる市立高校21校の無償譲渡について、市監査委員に無償譲渡の差し止めの勧告を行うことを求めた。
 だが市監査委員は、府市がプロジェクトを作って進めた無償譲渡は、地方財政法28条の「経費の負担区分を乱す行為を禁ずる」という文言の当該行為には当たらないとした。
 また、市立高校の府への譲渡を、市長が議会で議決していないことについては、「一般的には議決が必要だが「市立高校廃止案可決をもって、議会に承認されたとみなす」などと棄却。5人は10月に大阪地裁に訴状を提出した。

ーー「都構想住民投票」の結果と真逆を突き進む維新首長

 原告は、市長・松井一郎氏と契約管財局長・河村浩一氏に、それぞれ、市立高校の無償譲渡をしないよう求めた。4月に譲渡予定であることから、「3月中に決着をつけたい」という原告の意向で、12月、1月で3回の弁論を行い、判決というスピード裁判となった。
 意見陳述では、原告の1人である綱島慶一さんが「住民投票の結果と真逆のことをしている」と市民の思いを伝えた。
 12時から弁護士会館で行われた報告集会では、「未登記」の土地や建物を譲渡できるのか?などの質問に、弁護団は「一般的にはできないが、やろうと思えばできる状況だ」と危機感をあらわにした。
 報告集会に参加した男性(60代)は、「未登記などありえない。府市一体がなあなあになっていることを明らかにしてほしい」と裁判に期待を寄せた。
 次回口頭弁論は、12月17日15時から大法廷で行われる。原告団は「ひとりでも多くの傍聴を」と呼びかけている。


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名義人 イズミカヨコ(呼びかけ人、訴訟提起人)

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