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【5.19‐20 G7サミット反対闘争】帝国主義国間の会議と試される民衆の国際連帯

 4月19~20日に開催されたG7広島サミット。現地での抗議行動の様子を報告する。
 筆者は抗議デモの参加団体の車に同乗し、深夜から高速道路で現地へ向かった。当初は検問が敷かれることも想定して対策を話し合ったが、県外からの応援に来る機動隊のために検問は敷かれておらず、スムーズに入ることができた。
 デモの集合地点へ向かうも、サミット会場の近くまで走る「宇品」行きの路面電車が、交通規制の影響で待てど暮らせどやって来ない。諦めてタクシーを捕まえようとするも、「怪しい人間は乗せるな」とのお達しがあるのか、まったく止まる気配がない。やっと止まってくれたタクシーの運転手に話を聞くと、交通規制に不満を覗かせていた。一方で、抗議デモに対しても「やっても意味がない」など、冷ややかな態度だった。
 タクシーはある程度の距離を進むと、渋滞にはまって進まなくなった。諦めて下車し、徒歩で向かうことに。会場まであと一歩のところで、G7首脳陣の車両の通行を優先するため、バリケードで道が封鎖されて通行できないようになっていた。

封鎖される道路

 いつ解除されるともわからないなかで、多くの地域住民が待たされ、配達中らしきウーバーイーツのドライバーも困り果てていた。結局30分ほど経ち、首脳陣の車両が通ることもなく一時解除され、無事にたどり着くことができた。市街地では、10㍍間隔で警察官が配置される異常警備だった。
 デモには韓国、台湾、アメリカ、フィリピン、台湾など、さまざまな国から参加があった。集会発言はどれも、サミットを「ウクライナ戦争を長期化させる戦争サミット」という位置づけが共有されていた。デモコールは日本語のものとは別に、海外の参加者からも、「Junk Junk Summit(G7粉砕)」や、「US Imperialists,number 1 terrorist(アメリカ帝国主義はNo.1のテロリストだ)」といったものも叫ばれていた。

集会参加者

暴かれる「中国悪魔化」のプロパガンダ

 デモ終了後は、東区民文化センターで国際連帯フォーラムが開かれた。
 最初に、羽田空港で入国拒否に遭い、「退去命令」を出されたアメリカの団体「レジスト」のメンバーからの声明文が読み上げられ、執拗な質問と持ち物検査の被害を訴えた。 続いて台湾からの参加者の報告では、中国との間で民間交流や政府支援があったと指摘があった。むしろ、アメリカから肥育促進剤を使用した豚肉や武器の押し売りをされたとし、アメリカによる「中国悪魔化」言説の嘘を暴いた。
 「フィリピン新民族主義者同盟(BAYAN)」からは、自国政府のアメリカ帝国主義への従属と、公営サービスの民営化と憲法改悪策動などの新自由主義路線の政策を批判した。
 国内からは、アイヌ民族の木村二三夫さんから、大学研究者らによる「遺骨の盗掘問題」が話された。「アイヌネノアンアイヌ(人である人)」という言葉を引用して、学者たちの人間とは思えない異常行為を批判し、「先人たちを蹂躙する行為は許せない」と訴えた。宮古島の清水早子さんからは、進む軍事化への怒りと、4月に起きた陸自ヘリの墜落に関しての事後報道への疑義が出された。 最後に共同声明が採択され、閉会した。
 主催者から、デモ参加者は130人と発表され、人数の少なさに驚いた。情勢的には、入管法改悪が通されるかの瀬戸際という状況下ではあったものの、「7年に一度」のビッグイベントであり、国際連帯の一番の舞台だったはずだ。 一方で岸田文雄にとっても、解散するほどの支持率アップとはならず、民衆の側も白けた雰囲気となっている。岸田政権と社会運動、双方にとって課題が残ったサミットと言えるだろう。    (編集部 朴 偕泰)

国際連帯フォーラム

(2023年6月20日号掲載)


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