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【2/16 大阪地裁にて判決】「安倍国葬は違憲」 国相手に一人闘う小山さん

【安倍国葬違憲訴訟 判決】
2023年2月16日(木) 13:10大阪地裁
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編集部 かわすみ かずみ


 昨年11月24日、大阪地裁で、安倍元首相の「国葬儀」を閣議決定で行ったことや、国の予備費を使ったことは違憲だ、として起こした裁判の口頭弁論が行われた。当日の様子などを取材した。

 東京、横浜、埼玉、大阪の4都道府県で行われている国費支出差し止めを求める裁判の仕掛け人は、元軽井沢市議会議員の岩田薫さん(69)。全国から原告を募り、応じた原告が各地で提訴した。
 大阪では、小山広明さん(80)が弁護士を立てず本人訴訟で提訴した。小山さんは元泉南市議で、今は受刑者の社会復帰支援などを行う。当日の傍聴者は12人で、ジャーナリストや市民運動参加者、元議員などだった。 

 訴状によると原告は、①閣議決定による国葬実施は法的根拠がない、②国民の合意が必要な国費支出を閣議決定で決めたことは、手続き上違法だ、③国葬令は既に廃止されており、実施に法的根拠がない、と主張している。
 一方被告である国は、「閣議決定によって直接的に権利侵害や法的地位が変動した事実がないため、訴訟案件ではない」と反論した。原告は、国葬が既に実施されたことを理由に、①閣議決定を無効とする、②国葬の予算支出を無効とする、など訴えの変更を行った。
 当日、原告は徳池淳裁判長に対して、支援者3人の証人申請を口頭で訴えたが、裁判長は今回で結審とし、次回の判決日を伝えた。

「はるさん」から教わったこと

 小山さんは、大阪の釜ヶ崎で炊き出しをしていた「はるさん」から多くを学んだ。40年以上、同地の夏祭りで天ぷらを出していた小山さんは、はるさんの「野宿者とともに歩もう」「質のいい食事を出したい」という思いに共感する。だがはるさんは20年程前に病に倒れ、寝たきりになる。そのはるさんに選挙に出るよう勧めたのが、小山さんだった。

 選挙に出ると決まった時、自力で排便できなかったはるさんは、初めて自力で排便した。「寝たきりの障害者に何ができる?」と周囲に非難されたが、小山さんは、「はるさんにも選挙権があり、人として認められるべきだ」と言った。
 はるさんは落選したが、はるさんの存在を認めて投票した人が600人もいた。自分という個は一人しかいない。一人ひとり違う願いがある。だから一人からでも声を上げる価値がある。小山さんは、そうした思いで本人訴訟に臨む。
 膀胱ガンによる下腹部の痛みを抱え、車椅子で法廷に向かう小山さんは今、当時のはるさんの思いをどう受け止めているのか? 中学卒業後、就職、結婚を経て30才で世界21カ国を巡り、帰国後、小山さんは市会議員となった。「存在に答えることが政治」という信条を胸に、ひとりで裁判を闘う。誰でもできるのに、誰もやらないことをやるのが面白い、と小山さんは好奇心を覗かせる。

 「向こう(被告)から本音を引き出していくことが裁判の意味です。勝とうとは思っていません。司法に風穴を開けたいんです」と小山さんは意気込みを語った。
 次回は2月16日13時10分から判決が言い渡される。埼玉、東京では、口頭弁論すら行われなかった。第2回口頭弁論まで持ち込んだ小山さんの今後は注目に値する。

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