台湾の役職名 ~実例も公開しちゃいます
こんにちは、在台湾の欧米系会社員をしているJinです。
台湾の役職名は日本から来たばかりだとよくわからないものがあると思います。商談などで複数の方々と面談するとき、どの人が役職上の人なのかわからず「誰を見ながら話をすればいいんだろ」という状況はありがちです。
ということで、今回はよくある台湾での役職名をまとめてみました。
よくある役職
大手企業か中小・零細企業、国有企業か民間企業、製造業か商社等の業界によっても役職名や区分、ヒエラルキーが異なるので、参考程度に見てください。台湾では一般的に、以下のように分類することが出来ます。
中国語役職名(日本語読み)/相当する日本語の役職
董事長(とうじちょう)/会長、理事長
董事(とうじ)/役員、理事、取締役、ディレクター
總經理(そうけいり)≒執行長(しっこうちょう)/社長、ゼネラルマネジャー
副總經理(ふくそうけいり)≒協理(きょうり)/副社長、本部長
經理(*けいり)/部長、マネージャー
副理(ふくり)=副經理(ふくけいり)/副部長、部長補佐
襄理/課長/副部長
課長/課長
主任、組長/係長
役なし/ヒラ、*オーナー社長
各役職について上位から説明します。
「董事長」:
上の分類では「会長」としましたが、日本的な「会長職」とは多少ニュアンスが違い、オーナー社長の多い台湾ではまさに企業トップをあらわす「CEO」や「プレジデント」です。会社のオーナーであり、最高権力者であります。また、役職に董事が冠せられていると、取締役という意味であり、一般的に株を保有している役員であることが多いです。
「總經理」:
「代表取締役社長」に近いです。特に「董事長」と「總經理」が居る企業に於いてはその傾向が特に強くなります。董事長は「プレジデント(オーナー社長)」というニュアンスに対し、「總經理」ですと「プレジデント」というより「ゼネラルマネジャー」と呼ぶのが一般的です。
企業によっては「董事長」のみで「總經理」を置かなかったり、最近は「董事長兼總經理」のように董事長が總經理を兼務していたりすることが多いと思います。日々の実際の会社運営、現場での指導はすべて総経理が取り仕切り、対外的に全責任を負います。董事総経理とあれば、取締役社長となり、会社の出資者であり、株を保有していることが多いです。企業のトップを指す場合が多いですが、特に商社等では部門長を指す場合も散見されます。
「副總經理≒協理」:
これも企業によって有無がありますが、副社長クラスです。副總經理と協理が分かれている場合は副總經理>協理>經理です。副部長クラスの場合もあります。総経理は会社(もしくは部門)に一人ですが、副総経理は複数いることもあります。
「經理」:
日本で言うところの部長クラスの部門長(マネジャー)です。「~に責任を持つ人」という意味なので、財務經理だとファイナンス部門の部長、業務經理だと営業部長、專案經理だとプロジェクトマネジャー、產品經理だとプロダクトマネージャーです。小さい会社だと役職名が上になる傾向があるので、大企業でいうところの課長クラスの場合もあります。
「經理」は日本語の財務会計関係の「経理」とは意味が異なります。会計関係を担当するのは「會計(kuàijì)」なので注意が必要です。
「副理」:
副經理の意味。副部長、部長補佐(小さい会社だと大企業の副課長くらい)です。
「襄理」:
課長と同格か經理未満。この役職を置いていない会社の方が多いと思います。課長以上、副理以下との説明も見かけました。
「課長」:
メーカーなど大手企業では經理>副理>課長となる場合が多いです。
「主任」:
これも小さな会社ではあまりない役職が、事業会社では日本的に言うと「係長」クラスなイメージです。
一方で、教育現場では校長直下だったり主任はかなりシニアだったりします。業界によって日本の主任よりもかなり上位職なこともあるので注意です。
「組長」はグループ長という意味なので、日本のヤクザとは関係ありません笑 比較的小さなグループで、会社の役職でもありますが、どちらかというと仕事よりもサークル活動などで組長を使っている印象です。うちの会社の場合はゴルフサークルやバトミントンサークルのとりまとめ役に使っています。
その他役職名
「創辦人」:創業者。今時のスタートアップにこの肩書を使う人が多い。
「顧問」:アドバイザー、コンサルタント。重役が定年後 顧問として残ることも多い。
「廠長」:メーカーなどで「工場長」の意味。一般的には「副社長クラス」もしくは兼任の場合が多いようです。企業によっては「副廠長(副工場長)」を置いている場合もあります。
「専員」:スペシャリストです。別に技能などで特別な資格を持っているという意味ではなく、どちらかというと「専任」のニュアンスに近いかと。
「総工程師」:「技師長」的ポジション。企業によっては工場長もしくは副社長クラスにあたる。
「工程師」:一般エンジニア。台湾のエンジニアは高給取りの代名詞なので、日本よりもヒエラルキーが高いと考えられます。
「助理」:「副理」と紛らわしいですがアシスタントの意味で、通常、管理職ではありません。大抵は「助理」の前に担当を示す言葉が入ります。例えば「業務助理」など。これが「董事長特別助理」や「總經理特別助理」となると「社長秘書」的なニュアンスになり、「特助」などと約される場合もあります。これは必ずしも女性というわけではありません。
また大手企業では「特助」は「社長直轄スタッフ」的な意味合いもあります。社長直属である場合はただのアシスタントではなく経営に影響を及ぼすポジションなこともあります。
「資深」:シニアの意味。資深が役職の前に付いているとランクが上がります。「資深副總經理」でシニアバイスプレジデント、「資深經理」でシニアマネージャーです。
「處長」:拠点長、所長です。国営企業や一部の大手メーカーや本部から離れた拠点のトップです。兼務していることもあれば、副社長~工場長または部門長クラスの場合も。
「執行秘書」:会社にもよりますが「協理」クラスです。社長秘書的な場合もあります。
この他に、「科長(kēzhǎng)」などもありますが、上の序列のどのあたりに入るのかは、組織によって違うようです。
あと、中国語表記の役職名と英語表記の役職名にズレがあることもよくあります。例えば中文で「協理」なのに名刺の裏側英語表記をみるとGeneral Managerであったり、DirectorやSenior Managerだったりします。
また、必ずしも董事長(社長)は名刺に役職を書いているわけではないです。経験上、零細企業のことが多いですが、名刺には会社名と名前だけで肩書きを書いていないオジサンが実はオーナー社長だったりするのでご注意ください。
全体的に役職名が高くなる傾向
先述の通り、例外として社長は役職名を名刺に載せないこともありますが、全体的には役職名は高くなっている(インフレ/役職の価値が下がっている)傾向があります。理由は様々ですが、おおむね下記のような理由かと思います。
①企業の成長が止まり始め、責任の範囲が変わらないが給料は上げられないので役職だけ高くなる。
②起業家が増えており、ベンチャー企業などは若手でもCxOなど上位役職を使う。
③日系を含む外資企業は本国で課長であった場合でも、現地法人に駐在となると通常2~3階級は上がります。
業界によりますが多いのは①のパターンな気がします。特に同じ大企業という括りで比べても銀行のVice Presidentは課長クラスで数人の部下を持つ程度だったりすることもありますが、製造業の「經理」は数百人を束ねる大ボスだったりします。どのくらい偉いかは、会社の規模や管理職の数によっても違うので、小さな会社なら、「經理」と言っても大企業の「係長」クラスの可能性だってあります。
うちの会社の場合を公開
外資金融・従業員150名規模・平均年齢40代半ば程度。
最近は日本も年齢層が高いほうが人数多い傾向かとは思いますが、うちの会社の場合は新卒はほぼ採用なしで、基本的に業界からの経験者しか採用していません。20代は2,3人くらいしかおらず、少数の30代前半、ボリュームゾーンは30代後半から40代半ばくらいなイメージで、数人の50代役員、社長が60代。下記の表は必ずしも序列通りではないですが、当社はだいたいこんな感じです。
前の段落で副總經理≒協理/副社長クラスと書いていますが、副社長何十人いるの?というレベルです苦笑 執行秘書は協理クラスのこともあるようですが、うちは単なる社長秘書で具体的な経営には関わらず、スケジュール管理くらいしかしていません。
うちは在台湾の典型的な外資金融かもしれません。うちの場合は副總經理が部門長、その上が複数部門を束ねる統括です。50代が少ないのはアップorアウトだからなのか。。。
ちなみに同じグループ会社でも当社日本法人は年齢層が高く、平均年齢50代程度だと思いますが、むしろ役職なしが多いです。また、当社台湾法人では「Specialist」は事務の「アシスタント」のことですが、日本法人だとその分野の金融の「スペシャリスト=専門家」として地位があるため、同じグループ会社でもまるっきり扱いが異なります。
繰り返しになりますが、業界や会社の規模など、個別の会社ごとに大きく異なることがあります。単純に自分と相手の会社を照らし合わせることはできませんが、なにかの参考になれば幸いです。
参考文献
今回は自身の経験や見解と合わせて下記のサイトも参考にさせて頂きました。ありがとうございます。
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