キャリアコンサルタント資格勉強〜Vol.6「認知的アプローチ2/2」

カウンセリング理論において分類される4つのアプローチ
・感情的アプローチ
・認知的アプローチ
・行動的アプローチ
・包括的(折衷的)アプローチ
これらの内、前回に引き続き「認知的アプローチ」についてまとめていきます。

『認知的行動療法』
■理論的背景
 認知療法と行動療法の統合を試みる療法。

 実験心理学、行動科学、認知科学の知見を積極的に応用し、実証的な方法を用いて適応問題を改善しようとする心理療法。

 「エビデンスベイスト」という基本的前提を共有したさまざまな臨床技術の総称ではあるが源流は行動療法と認知療法の2つ。

■主な概念・技法
人の問題や症状を「環境」とそれに対する「個人の反応」との「相互作用」の観点で理解する。

「個人の反応」は①認知②行動③感情④身体反応の4つが含まれる。

「相互作用」の理解には、刺激-反応-結果の「三項随伴性」の枠組みをもとに、問題の維持や促進要因を特定してその変容に焦点をあてる。

⭐︎基本モデル
「個人間相互作用」「社会的相互作用」+「個人内相互作用」

⭐︎代表的な技法
1.活動スケジュール表を作成する技法
2.習得度や満足度スケジュールを作成する技法
3.段階的な課題割当表を作成する技法
4.行動リハーサルの技法
5.社会的スキル訓練や主張訓練の技法
6.読書療法
7.暴露法(エクスポージャー)
8.リラクセーションや瞑想、呼吸訓練 など

『ゲシュタルト療法』
■理論的背景
ゲシュタルトとは、ドイツ語で「全体」「まとまり」「形」「完結」「統合」などを意味する。
ゲシュタルト心理学では人間の全体性と人間の認知の連続性の統合性を強調する考え方。
人間の知覚も認知も「全体としてまとまりを作るようにできている」と考える。

この考え方を説明するために「ルビンの壺」がよく使われる。

受け取り方は人によって違うが、どれも間違っていない。

クライエントの悩みもこのように作られるかも知れず、相手が自分と違う受け取り方をしていても、相手を認めて自信を与えることが大切でそれを援助することが治療であると考える。

■主な概念・技法
「気づきに始まり気づきに終わる」と言われる。
自己や自己の欲求を「形」にして表現し、未完結のものを「完結」へ導き、「全体」として「まとまり」のある方向へ人格の「統合」を図ることを目的としている。

⭐︎カウンセリングにおけるゲシュタルト療法の介入
1.カウンセラーの解釈は避け、クライエントに気づきを持つ機会を提供
2.カウンセラーは「今、ここ」における自明な現象を取り上げる
3.言葉は出来るだけ第一人称で現在形を使うことを勧める
4.未来や過去へ逃避させない
5.周囲を操作するようなことではなく、セルフ・サポートへと結びつくようにエネルギーを使うことを勧める
6.自己に対決する機会を提供する
7.非言語的なものに注目する
8.「実験」を通じて気づきを促進する
9.「図」に上がっていくものの言語化を勧める
10.心残り(未完結の経験)を完結する機会を提供する

⭐︎よく用いられる技法
1.エンプティ・チェア
 椅子に想像する他者や自己を座らせて対話する技法

2.ファンタジー・トリップ
 ファンタジーといわれるイメージ法により、ファンタジーの中でさまざまな体験をする技法

3.夢のワーク
 「夢を生きる」ともいわれるが、夢に登場する人物、物事、雰囲気などになってみて、夢を再現し、各々言語化や行動化する体験をする技法

4.ボディ・ワーク
 身体と対話したり、身体の部分になってみて言語化したり、行動化する体験をする技法

『交流分析(TA)』
■理論的背景
小集団における心理療法としてだけでなく、パーソナリティ論・人間関係論としても理論が確立されている。
人間関係や個人の発達理解、組織の開発などにも利用されている。
心理療法としてのTAの特徴は、人間自律性の達成にある。

理論は自己理解、自己洞察を得られやすいように構成されている。

「今、ここ」で過去の理解を再現することで、その体験を検討し、自分の意思決定により新たな自己の行動を選択できる方法論を持っている。


■主な概念・技法
交流分析の理論は主に5つの基本概念で構成される。
1.ストローク
バーンは「人は誰しもストロークを求めて生きている」とした。ストロークは2つ。身体的接触である「タッチ・ストローク」、言葉がけなど精神的な「認知的(心理的)ストローク」。

乳幼児期にはタッチ・ストロークが不足すると発育不全を起こすとした。

褒める、励ます、微笑むなどが肯定的な認知ストローク
にらむ、無視する、禁止するなどが否定的ストローク

2.構造分析(自我状態)
人間には3つの表現システム(自我状態)があるとし、それぞれペアレントP・アダルトA・チャイルドCとする。

人間は上記の状態を状況や相手に応じて表現して生きている。

自由自在に行き来することが望ましいが誰しも多少の偏りがあるとした。

※とある組織研修でやったことがある!
ビジネスシーンにおいてはアダルト対アダルトの自我状態でのコミュニケーションが望ましいが、ペアレント対チャイルドの構図になることが良く見受けられるとのこと。

3.交流パターン分析(やりとり)
人と人との一対一のやりとりの単位。一方がP/A/Cのどの自我状態で誰に話しかけ、相手がどの状態で反応するかを観察。人間関係とコミュニケーション改善の手がかりを得ることができる。

※3で補足した研修では、「部下のチャイルド状態をアダルトへ変えるには上司が部下をアダルトとしてコミュニケーションする必要がある」と学んだ。言い換えると「部下のチャイルド状態を作り出しているのは上司の責任である」ということ。

4.ゲーム分析(人生ゲーム)
ゲーム分析はTAの治療的活用法の中核。
隠された動機によるやりとり。表面的な心地よさの裏に必ず正直な駆け引きがある。それがノイローゼや慢性的悪循環の人間関係をつくる基になる。

5.脚本分析(人生脚本)
人生をドラマと見立て各自が独自のシナリオを演じる。その中で人が演じる役割や筋書きを「脚本」と呼ぶ。
TAの最終段階では、脚本を分析し、自己実現するための脚本を意識的に建設的なものに置き換えていく。

⭐︎機能分析
「今、ここ」での心の動きがどの自我状態の機能を用いているかを分析する。
それが適切でなければ修正することで、より快適な生活が送れるようにする。

⭐︎エゴグラム
自我状態の5つの機能の関係とそのエネルギーの大きさを棒グラフまたは折れ線グラフで表したもの。

■学びや考察、感想
そろそろ各種心理学について頭がこんがらがってきた泣
今日の心理的アプローチは行動療法、認知療法を経て「双方の良いとこ取りをしよう!」「これらを基礎にして組み合わせよう!」という研究が進んでいるようだ。

個人的には構造分析におけるPACの考え方が会社で起こるミスコミュニケーションあるあるだなと。

まずは概念理解として学びを先に進め、今後振り返りつつ血肉にしていきたい。

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