キャリアコンサルタント資格勉強〜Vol.10「キャリアカウンセリングにおける代表的理論」

これまではカウンセリング理論をまとめて来ました。
キャリアコンサルタント資格勉強vol.2-9。

今回からはしばらくキャリアカウンセリング理論について学んでいこうと考えています。

中でもまずは歴史を学ぼうということで全体を見た感じ、
キャリアカウンセリング理論前期と後期に分かれる
深堀すると果てしない
各理論の集約から新たな分岐をしている
という印象でした。
※勉強後に印象は変わるのかも笑

今回は前期をさらっとなぞるべく、代表的な5名をざっくりと取り上げていきます。

こんな方々を取り上げますよ↓
1.フランク・パーソンズ
2.ウィリアムソン
3.ギンズバーグ
4.ドナルド・スーパー
5.ジョン・ホランド

結局は1-3の方々の考えも経て、スーパーさんとホランドさんの理論が集約的・体系的であり後期の礎となっていると言えるのでは無いかなと、今のところは思っています。


1.フランク・パーソンズ
■理論的背景
著書「Choosing a vocation(職業の選択)」
特性因子理論
ただ仕事に就くのではなく、自分にふさわしい仕事に就くのが望ましい。
職業選択は自分を偽らず慎重に自己分析し、かつ指導を受けること。
幅広く職業分野を調べ、就きやすさや偶然見つけたもので妥協しない。
職業や成功の条件などは研究している専門家の助言を受けることが、安全で望ましい。
自己分析は紙に記すことが必要。

パーソンズさん時代の「当たり前」は、親の仕事は継ぐもの、与えられた仕事に就くものだった。そこに一石を投じるこの理論は画期的だった。

■主な概念や考え方など
職業選択における3要素
①自己理解
自分の適性、能力、興味、希望、資源、限界、その他資質についての自分自身を明確に理解する。

②仕事理解
さまざまな職種に関して、メリット、デメリット、成功に必要な条件、報酬、就職の機会、仕事についての展望などの将来性について調べる。

③推論
自己理解と仕事理解で把握したことを組み合わせ、合理的な推論を行う。

2.ウィリアムソン
■理論的背景
特性因子理論をカウンセリングに取り入れた。

パーソンズの職業選択の流れを組み、人の特性と因子(仕事内容や要件)に注目し、特性因子論を提唱した。

人々の持つ特性(知性・性格・興味・価値観など)を認め、正確に測定することで、その人らしさ(一貫性)と他人の違い(多様性)について情報を得ることができるという考え方。

環境の特性と関連づけて考えることで、個人と環境双方が満足できるような関係を築くことが職業選択や職業適応をもたらすという考え。

個人と環境の組み合わせや合致の程度を検討することが大切。

合致度を高めるためには、個人か環境の特性を合わせていく、または双方が歩みよる必要がある。

■主な概念や考え方など
特性因子理論を取り入れたカウンセリング手法を「特性・因子カウンセリング」とし、5つのステップにまとめた。

1.分析
問題を特定し、面談やアセスメントを使い主観的・客観的にクライエントの情報を集める。

2.統合
クライエントの情報を比較・検討・要約し、強みや弱みなどのとくせや抱えている問題を明確化する。

3.診断
抱えている問題の原因や要因を検討する。

4.カウンセリング
協力的に話し合った上で、選択可能な行動や適応をクライエントに示す。

5.フォロー
カウンセリング後に支援が適切だったか確認し、必要に応じてサポート提供する。

3.ギンズバーグ
■理論的背景
職業発達理論
途中で理論を変えた為、ビフォーアフターで。

ビフォー
①職業選択は青年期の期間を通して行われる。
②そのプロセスは連続的かつ非可逆的。
③職業選択は、個人の欲求と現実的選択肢の妥協。

アフター
①職業選択は生涯を通して行われる。
②そのプロセスは後戻り可能。
③職業選択は、個人の欲求と現実的選択肢との最適化の過程。

(何があった、ギンズバーグさん…一気に夢のある理論になったやん)

■主な概念や考え方など
キャリア発達のプロセスを3段階に分けた。

1.空想期・児童期(0-11歳)
子供時代どんな仕事にあこがれるのか。

2.試行期・青年期(11-17歳)
具体的な職業選択や興味を持つ。

3.現実期・青年期(17-20代前半)
子供の頃に描いた夢などに対し、その仕事を行うために必要な能力や価値観などを認識する。

4.ドナルド・スーパー
キャリアカウンセリング理論の祖

■理論的背景
自分の理論を「差異-発達-社会-現象学的心理学」と表現。
1951年、1963年「自己概念の理論」著。

特性因子理論と自己概念を統合することで現実的な職業心理学、職業発達が構築できるとした。

研究から得られた知見をまとめ、「14の命題」と命名した。
この命題を要約すると「仕事を通して自己実現できるんだよ」ということ。
ポイント→キャリア発達とは職業的自己概念を発達させ実現していくプロセスである。

■主な概念や考え方など
・キャリア自己概念
自己概念とは主観的自己(自身の価値・興味・能力がどんなものか自分が主観的に形成した自己概念)と客観的自己(他者からのフィードバックに基づき形成された概念)が、個人の経験を統合して構築されていく概念。

そのうち、キャリアに関する側面がキャリア自己概念である。自己概念はキャリア発達を通して形成されていく。

・職業的適合性
職業的適合性は能力とパーソナリティから成る。

能力は適性(潜在能力+出来ること)と技量
パーソナリティは適応・価値観・興味・態度
にそれぞれ分解される。

特性因子理論に職業としての側面を組み合わせたもののイメージ。

・ライフ・スパン/ライフ・スペース
キャリア発達に「役割」「時間」の考え方を組み込み、ライフ・スパン/ライフ・スペースの理論的アプローチを提唱。

ライフ・スパン=キャリア発達を時間の視点から捉える
ライフ・スペース=キャリア発達を役割の視点から捉える
 ↓
ライフ・スパンとライフ・スペースという二次元を持つ「ライフ・キャリア・レインボー」というグラフィックで表現。

人はこの二次元の交点の中で生きており、現在の自分の位置づけを座標として認識することでキャリアの方向性を計画するのに役立てることができる。

生涯を通じた一連のライフ・ステージをマキシ・サイクルと呼び、人の一生を5段階に分け各段階での発達課題を示した。
①成長段階
②探索段階
③確立段階
④維持段階
⑤解放段階

各発達段階には移行期があり、ミニ・サイクルが含まれるとした。
ミニ・サイクルとは次の段階へ進むための意思決定の過程。新たな成長・再探索・再確立といったリサイクルが含まれ、発達は直線ではなくらせん状に発達するとした。

5.ジョン・ホランド
キャリアカウンセリングにおいてスーパーと並んで代表的な人

■理論的背景
自分の理論を「類型論的-交互作用的理論」と呼んだ。類型論=タイポロジーとも呼び、人の行動や思考の違いでタイプ分けすること。交互作用=人と環境の交互作用。

6つの理念を取り入れた。
1.職業の選択は、パーソナリティーの表現の1つ。
2.職業興味検査は、パーソナリティー検査である。
3.職業的なステレオタイプは心理学的・社会学的に確かで重要な意味を持つ。
4.同じ職業群についている人は2回送ったパーソナリティーの特性及び発達史を共有している。
5.同じ職業群に属する人々は似たようなパーソナリティーを持つので、様々な状況や問題に対して同じように反応したり、それぞれ特徴的な対人関係の作り方をしたりする。
6.職業満足、職業上の安定性や業績は、個人のパーソナリティーとその人の働く環境との一致の程度に依拠する。

■主な概念や考え方など
キャリア発達段階説への批判
ホランドはキャリア発達的プロセス思考アプローチよりも、パーソナリティータイプの発達の構造的アプローチを好むと明言。
パーソンズの構造的立場の効果を評価し、その流れを色濃く引き継ぐ。
キャリア成熟よりも職業的自己同一性(アイデンティティー)が有効な概念だとしている。

職業選択からキャリアへ
ホランドは自らの理論を、職業選択に関する理論からワークキャリアの理論へ変遷させた。なぜなら、キャリアと言う言葉には個々の歩んだ仕事の経歴やいくつもの選択の歴史が内包されており、自分は生涯の職業生活に関わることに関心があるからと述べた。

「個人が生活や人生が選択の連鎖であり、生活場面での他の様々な選択の連関であること」への気づきに焦点化し、キャリア理論へとスタンスを変更した。

6角形モデル
人は6つのパーソナリティータイプに分類される。
現実的、研究的、芸術的、社会的、企業的、慣習的
※この順番を変えてはいけない。
人の報道は個人のパーソナリティーと職業環境との交互作用の結果から成り立っている。

・一貫性
六角形で隣り合っているパーソナリティータイプや職務は距離が近いほどよく似ている。
・分化
六角形のうち最も高いホランドタイプと最も低いホランドタイプの差を表したもの。
・同一性
個人の同一性は自分の職業目標や自己理解が明確であり安定したイメージ像を持っていること。
・一致度
個人のパーソナリティータイプがその環境のタイプを一致すること。パーソナリティータイプと環境タイプが異なると不一致が起きる。
・凝集性
6つのタイプは心理的類似性から相互に関連性があると仮定されている。タイプ間の心理的類似性はタイプの距離に反比例している。

パーソナリティータイプの発達
人を特徴づけるパーソナリティータイプは、その人の生得的資質(生まれ持ったもの)と生きていく上で体験する人的、文化的、物理的環境からの力との交互作用を経て形成される、と言う仮定のもと説明。

親や幼少期の環境の持つタイプが、その人のパーソナリティータイプを作り出す可能性が高いとした。

■学びや考察、感想
特に「キャリアの心理学」から学んだ。
仕事とは人生の1部であり人生の大半を占める、また仕事は人の人生に大きな影響を与えると言えそう。

中でもスーパーの命題を要約した「仕事を通して自己実現できる」と言う考えには大きく賛同する。

一方で彼の描いたライフ・キャリアレインボーは時代とともに特に役割が変遷していっているように感じるので、学びこそすれ、引用ではなく転用する姿勢でありたい。

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