OBOGインタビュー第2弾:幸松大喜さん(キャディ株式会社サプライパートナーサクセス本部長)

本日は、東大からマッキンゼーに入り、現在急成長を遂げる株式会社キャディの創業メンバーとなった幸松大喜さんのインタビューをお届けする。近年の東大生にとって羨望の的となろうキャリアを歩んできた幸松さんはいったいどのような志で人生を歩んでいるのだろうか。
代表張、副代表大江、OB中島の3人で蔵前本社までお話しを伺いに行った。

幸松さん写真

名前:幸松大喜さん
職業:キャディ株式会社サプライパートナーサクセス本部長
大学時代:東京大学法学部
京論壇参加分科会:2011年国家イメージ分科会 2012代表

インタビュアー:
張奕沖(2019年度議長、2020年度代表)
大江創平(2019年度参加者、2020年度副代表)
中島礼朗(2018年度参加者、2019年度副代表)

現場に対する愛着とクライアントに対するリスペクト

 ➖マッキンゼーと町工場の思考方式の違いから軋轢が生まれることはありませんでしたか?
 最初はマッキンゼーらしくスーツを着て資料をつくって話しに行っても全然刺さらなかったんです。加工会社での修行を3か月積んでモノを作れるようになることで、最低限相手の加工の苦労を知るといった努力をしました。

 でも個人的には現場に対する愛着があり、リスペクトしていました。大学時代にもローカルな泊まり込みをしたり、マッキンゼー時代も一番好きだったのは現場に近いプロジェクトです。

 ➖過去の取材記事を見て、官僚志望からマッキンゼー志望に変わっていたんですけど今もう一度大学時代に戻っても、同じくマッキンゼーを選択していましたか?
 人生をもう一度やり直してもマッキンゼーには入ると思います。マッキンゼーのミッション自体はとても好きで、”クライアントに対する価値を最大限にすること””社内の人を魅了し続けること”があって、それに沿った行動規範がありました。例えば、1年目は早く成長しなきゃいけないという焦りはあったりすけど、メンターは気にするべきはそこではなくでクライアントに向き合い続けることで自ずと成果は生まれて来ると言うんですね。これはプロフェッショナルだと思いました。
 あとは1年目からいろいろ任されるストレッチングな環境でしたね。日本で衰退する半導体産業について5年間の中期計画を作り、その後に東洋経済で某コンサルティングファームの分析によると書いてあって、あ~俺がやったやつやんと思いました(笑)若くして社会に影響を与えられるなあということは感じられました。

コンサルとベンチャーの解く課題の質の違い

 ➖何かキャリアを積んでから起業するのは時間の無駄だという人もいます。それに関してはどうお考えですか?
 それは一理あると思います。でも業界にも寄ると思っていて、例えばアプリを作ったり、人材紹介の事業は学生起業でもとっつきやすいです。でも、キャディみたいなリアルを変えるビジネスになるとハードルは高くなります。それは品質や物流、町工場の生態系といった長いバリューチェーンを理解する必要があるからです。

 ➖元々起業する意志はありましたか?
 絶対起業というのはありませんでしたが、スモールプレイヤーのために何かしようという意志はずっとありました。
 コンサルのクライアントは大企業になることが多く、産業構造を変えることは難しいです。1つはプロジェクトの期間が短いことと、もう1つは基本的にマッキンゼーなら”解ける”という課題を解きます。
 一方で、ベンチャーは人々が想像もつかないようなバリューを出すことが求められます。

 ➖コンサルとベンチャーの違い、またベンチャー特有の面白さについてもっと教えてください
 解いている課題の質が違うと思います。コンサルは20%の改善を行うために、効率的な手法を考えることを良く言います。それに対して例えばキャディでは、世界を変えるために生産性を10倍にすると言っています。

 あとはコンサルとベンチャーでタイムスパンが異なります。
ベンチャーは5年10年先にめちゃめちゃデカいインパクトを起こすつもりで、最短ルートを取りに行きます。例えば、コストを無限に割けるとしたらどういう解決策があるかということを考えています。だから、1,2年で赤字が出ることは折り込み済みです。対して、コンサルの場合は、3か月で終わりますからこういうことはできません。

 先ほどマッキンゼーは解ける課題を解くということをいいましたが、1つ1つの課題は難しいです。どちらが良い悪いという訳ではなく、解いている課題の質が違うのです。

北京大生と東大生の視座の違い-ノブレスオブリージュ-

 ➖京論壇に入った理由はなんですか?
 東大に入ったときに、グローバルな活動をしたいことと世界のTOPの学生と語り合う機会が欲しいと思ったことがきっかけです。また、これから台頭してくる中国自体に興味があって、その価値観を深く知るために入りました。

 ➖京論壇に入ってみてどんなことを感じましたか?
 中国の情報統制や一人っ子政策についてどう思うの?っていうことを聞いて、当然否定的な答えが帰ってくることを予想していたんですが、国家のために必要なら良いこと、もっと紐解いていくと愛国心とかノブレスオブリージュということを当たり前のように話していたんですね。自分の周りではキャリアや自分がどう幸せになるかを話している人が多かった中、社会について考える北京大生と会ったのは新鮮な体験でした。
 昔から格差を解決することに興味があったわけですが、学生として話すのはとても勇気が要ることだったんです。でも、自分たちの問題だと思って話している北京大生に会うと自分も堂々と話しいいんだと思うきっかけになりました。
 講演会で”エリートの責任”みたいなことを言うとバッシングを受けましたが(笑)

京論壇の価値観の議論について

 ➖英語ディベートと比べ、京論壇で学んだことは社会でどう役立ちましたか?
 英語ディベート部では肯定否定が決まっていますが、京論壇は自分で立場を決めなくてはいけない。それは難しいことだけど、自分の立場を決めて話してみて、やっぱりこっちかなあと思考する過程で、自身のぼやっとしていた価値観が言語化されてきます。
 価値観の議論が実用的だったかどうかは分からないけど、社会に価値を出すとなったら自分がどういう人間であり、何を成し遂げたいかを洗練して考える必要はありますよね。いろいろ辛いことはあるけども、それでも前を向いて進もうと思えるはこれが自分だと信じられるからだと思います。

インタビューを通して

 研ぎ澄まされた思考と滑らかな口調でインタビューに応じてくれた幸松さん。ステータスとしてではなく、社会に対して価値を還元しようという大志の元で、マッキンゼーに入り、起業をして働いていることがひしひしと伝わってきた。自身のキャリアもしくは生き方を見つめ直す刺激的な話しを頂いた。
 幸松大喜さんインタビューを受けてくださり誠にありがとうございました。

関連URL

FASTGROW:
https://www.fastgrow.jp/people/873
私がCADDi3人目の社員として仲間入りした理由:
https://note.com/matsuko2/n/n66b2ef144827
キャディ株式会社 に関してはこちら:
https://corp.caddi.jp/

次回予定

林俊助さん Folio(2010年度)
大久保智夫さん UNICEF(2008年度)
Liff かえ子さん Asian American Association(2005年度)

文責:2020年度代表 張奕沖


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