見出し画像

私がCADDi3人目の社員として仲間入りした理由

こんにちは、キャディ株式会社のサプライパートナーサクセス本部 幸松と申します。これから、製造業の面白さや、キャディがそこにどんな価値を出していきたいかや、どんなプラットフォームを作っていくか、発信していきたいと思っています!

今日はその序章として、私の価値観や、なぜキャディに三人目の社員としてジョインし、何を成し遂げたいと思っているか、書きたいと思います。


「周りの目」から「周りのため」の生き方へ

いきなりですが、私の囚われは「周りの目」です。製造業の父の転勤で、高校までに海外含め9回引っ越しを経験したからでしょうか、新しい環境に適応することに非常に敏感になりました。他人の反応に臆病で、感情の機微に気づくことは得意ですが、周りに流されない自分の信念が何なのかに長年悩み、無理して尖ろうとし、大いに迷惑をかけることもありました(迷惑をかけた人には、このような文章を表に出すことも本当に申し訳ない)。

その中で行きついた答えは、①立場の弱い人のためになる、②日本に貢献する、という軸です。立場の弱い人のためになりたいという意志は、大学の時に、炊き出し、農家への泊まり込みなど、社会課題の現場に頻繁に足を運ぶ中で自覚するようになりました。現場で感じたのは、当事者であるスモールプレイヤーだけで状況を変えることは難しく、直接痛みを感じていなくとも、課題を認識している人が当事者意識を持ち、社会を変えようと思うことが必要ということでした。良いことをして褒められたい欲求というよりは、こうした課題からに目を背けてのうのうと生きることはできないという、使命感のようなものです。うまく言葉にできないですが笑。

英語ディベートや国際交流サークルを通じ、海外の学生と交流する機会も多かったのですが、彼らのパブリックマインドの強さに刺激を受けたことも大きいです。
社会問題や政治に関する議論が頻繁になされ、日本の学生は自分のキャリアや経済的成功の意識が高い一方、社会課題に関する議論が少ないと感じていました。「周りの目」への囚われが、「周りのため」という使命に昇華していきました。

海外歴が長いのですが、いわゆる帰国子女には、完全に海外の価値観に染まるパターンもあれば、日本人としてのアイデンティティをより強く持つパターンもあります。私は完全に後者です。海外でも、「周りの目」を気にし、頼まれたことを妥協せずこなしたり、約束や時間を守ったり、良くも悪くも日本人らしく生きていました。つまらない生き方だとコンプレックスもありましたが、幸い海外にいた時はそれがポジティブに受け入れられることが多く、徐々に自分の日本人らしさが好きになり、日本への愛着は強くなっていきました。


官僚志望からマッキンゼーへ。製造業現場マンになる

そんな私の大学時代を知る人には、今のキャリアを意外に思われることが多いです。「官僚か弁護士になると思っていた」と良く言われます。実際最初は官僚に興味があり法学部に進んだのですが、先輩の勧めでインターンを受けたマッキンゼーに感銘を受けました。ビジネスという切り口で、社会課題に向き合う卒業生や現役コンサルタントの話は刺激的でしたし、そのスピード感がたまらなくワクワクしました。オファーをもらった時、一ミリも迷わず入社を決めました。ビジネスで大きな社会的価値を出せるスキルを付けつつ、将来的にはスモールプレイヤーのためになる、社会構造を変えるような事業をしたいと思っていました。

マッキンゼーでは製造業が7割でした。まず製造業で感じたのは、課題の大きさ複雑さです。海外メーカーとの競争や、ソフト・サービスを絡めるビジネスモデルへの転換など、変化に悩むクライアントは多かったです。中にはそもそも課題が何かも明確になっていない案件もあり、仕事としては大変でしたが、その分やりがいもありました。

また、コンサルと言えばとにかくロジカルな印象を持たれると思いますが、クライアントにインパクトを与える上で、とくに製造業においては、人の共感を得ることが最重要だと実感しました。少しでも専門用語を理解するために勉強したり、誰より早く工場に来て誰より遅く帰ったり、現場の飲み会に積極的に参加したりする中で、少しずつ同じ目線で会話ができるようになり、様々な改革が前に進むようになりました。この業界のエモさに、私は愛着を持っています。

画像1

(マッキンゼーでは、素敵な仲間に恵まれました)

戦略から工場のオペレーション改善まで幅広く関わる中で、日本の製造業の強みと感じたのは、製造工程の重要性が高く、カイゼンによる製造効率の向上が競争力になる領域です。これらの領域は、中小企業を中心に支えられてきましたが、製造工程の生産性はまだまだ上げられます。日本の製造工程の中で、顧客価値を本当に付加できている時間は、5-10%とも言われています。受注する製品内容やタイミングが個別最適になっていたり、段取りの時間が多すぎたり、確認の時間が多かったり、中小企業では見積の時間が多かったりと、問題は山積みです。
製造業の大きなポテンシャルが、まだ解放されず存在しています。

加藤との出会い

CEOの加藤とは、マッキンゼーの同期です。同じプロジェクトをやったことはないですが、社内のベンチャーコンペティションなるものに一緒に出場して台湾でプレゼンしたり、人事イベントに二人で登壇したりしていました。ジョインしようと思ったのは、ビジョン共感ゆえです。いい技術がありながら、多重下請け構造に苦しんでいる加工会社のためになりたいと思いましたし、製造業全体の課題に直面してきた私にとって、キャディの「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」というミッションはまさに取り組みたいことでした。居酒屋で話を聞いたときにその場でジョインしたいと伝えたので、寧ろ加藤の方が戸惑っていました笑

キャディで何がやりたいのか

といいつつ、キャディが仮に見積のソフトウェアを提供するだけの会社であれば、ジョインしなかったかもしれません。私が即決したのは、産業構造を変え、多くのプレイヤーに価値を出す、スケールの大きさがあってこそです。

今のモノづくり産業の産業構造の中で、全体最適を阻む、4つの情報の非対称性・複雑性があると思っています。

①水平方向(企業横断)の非対称性
製造業はボリュームが利益に直結する領域と、ニッチで少量生産することで利益が出る領域の二つに分かれます。例えば自動車産業でも、販売台数と利益率の関係はスマイルカーブを描きます。

スマイルカーブ

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51106?page=2

今のモノづくり産業の中小企業は、このどっちつかずになっているプレイヤーが非常に多くなっています。市場の情報の非対称性により、加工会社は自社の強みも市場のニーズも見えにくく、目の前の顧客の案件に特化する個別最適が起きています。

②垂直方向(企業内)の非対称性
情報の非対称性は、発注側の企業内でも存在します。設計・調達・製造が組織的に分断されており、かつ各部署求められるスキルも知見も異なるため、開発時点で調達・製造の観点が十分に考慮できず、最適化されていないこともあります。設計時点で予算の目途が決まっており、調達は設計変更に十分な裁量がないまま予算内でのやりくりを強いられ、根拠のない買い叩きをしなければならないこともあります。

③多重下請け構造
複雑な多重下請け構造が形成されており、アンバランスな産業構造になっています。

下請け構造

具体的には、
・売上依存により、加工会社は目の前の案件をひたすら受ける構造になっており、全体最適ができない
・無駄な相見積もりなど、付加価値に繋がらない負担が大きい
・間に何社も入ることで、中小企業は価格も納期も厳しくなる

④図面や加工要件の非標準化
特に日本の製造業は、標準化がなじみにくい構造でした。日本の製造業は長い歴史を持ち、かつ複合事業を展開しています。各領域で同業者が複数存在し、他社製品との差別化を優先して、業界の標準化がなされてきませんでした。結果として、
・図面の書き方が異なる
・品質や仕様の条件が、類似製品でも会社によって異なる
・図面に記載すらない、暗黙の了解が発注者、加工会社間で起きる
という状況が起きており、取引コストの増大や、品質不良のリスクが高まっています。

こういった負の構造がある中、顧客側で起きているニーズの細分化や、価格・品質・納期の要求水準の高まりについていけず、経営困難になる会社が増えているのが今の中小加工会社の実情です。

キャディはITを活用した効率化だけでなく、巨大なプラットフォーマーとして全体最適や標準化をもたらす存在になることで、モノづくり産業のポテンシャルを解放していきます。加工会社であれば、自社の本当の強みに特化し、非付加価値時間を極限まで減らした生産をできる環境を作ります。世の中でいつどこでどんなニーズがあり、どんなものが生産される予定なのかデータを活用し、設備投資を提案しながら強みを引き出していくこともできるでしょう。発注者側でも、調達・製造コストを考えながら設計できる構造を作ろうと考えています。今、各社が個別最適で作っている品質基準や図面のルールも、プラットフォーム上で標準化を進めていきたいです。
こうした課題の大きさ、複雑さ、社会的意義の全てがあり、ビビッと来てしまったわけです笑

今何をやっているのか

サプライパートナーサクセス本部は、プラットフォームの拡大に欠かせないパートナー(=加工会社)との関係構築及び、案件が最適分配されるオペレーション・システム作り、新規製品の立ち上げ、パートナーのサクセスに寄与する施策の推進を行っています。
詳しくは、↓↓↓の資料をご覧ください。

https://speakerdeck.com/caddi_eng/caddi-sps-div-intro

長いし、聞きなれない名前だし、なかなか覚えてもらえないですが、この名前には、「顧客目線だけでなくパートナー(=加工会社)目線で、三方良しの事業を作りたい」という意思を込めています。
加工会社でのリアルはまた別の記事で詳しく触れたいと思いますが、30年間で約1/3に減少してしまったと言われる中小加工会社の中には、素晴らしい技術や熱意を持っている会社様がたくさんいらっしゃいます。そういった会社のためになりたいと思い、私はキャディにジョインしましたし、メンバー一丸で課題に向き合い続けています。
事業開発の手段としてのサプライチェーンの構築という考えではなく、加工会社のサクセスを考えポテンシャルを解放することが、会社のスケールの基盤となり、「モノづくり産業のポテンシャル解放」に繋がると我々は信じています。

キャディで一緒にこのミッションを達成したいという仲間を、まだまだ募集中です!メンバー/リーダー/マネジメント関わらず、全方位で積極採用中なので気軽にご連絡ください!!
Twitterもやっています。DMも歓迎です!
https://twitter.com/kohhhmatsu

長文お付き合いいただきありがとうございました。次回は、職業訓練や、町工場での修行で感じた、製造業の現場のリアルをお伝えします!!