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ToodledoからNotionに移行した(けどそんなことより"サブスク"ってなんかムカつくよね!?

タスク管理ツール、かなり高機能な「Toodledo」てやつを年額5,000円ぐらいでずっとしゃーなしで使ってたんだけど、このたびの爆裂値上げでムカついてNotionに半日がかりで移行した。

Toodledo

Toodledoを今の今まで使ってた理由として、タスクの親子関係の表現と、子タスクも親とは別個にかなりきめ細かく設定できる点を評価してたってのがある。Notionではそのへんが一部失われつつも、他機能をうまく取り回してがんばって再現した格好。そんでリピート系の処理がちょっと手間どった。

Notion

数ヶ月まえに実装された「データベース内アイテムのテンプレート繰り返し機能(長い)」を使うとタスクの定期追加が自動でできるので、そのへんをうまく使いながら、そして最近実装されたトグル機能で親-子タスクが表現できるようになったのでそれも使った。あとはアラートのために関数プロパティをいじったりとか。

Notionの本質はあくまでコラボレーションツールでありWikiであるから、ToDoリストとしての手触りは正直そんなよくないというか、デザインがこなれてて良くてあとは(今のところ)無料だからまぁしばらくは、という感じかなー。


SaaS系サービスの常として、無料、ないしは超低価格で使える時期がまずあって、そこからどんどん値上がりしていく。事業者側から見ると、ユーザ獲得期から囲い込み期のうちに、ユーザのサービスへのロイヤリティ(愛着とか)を増したり機能への依存度を高めたりして、後の離脱リスクを極限まで下げてから月額をどんどん上げていく収益刈り取りフェーズに移行するというのが一応の王道ということになっている。

最近はどのツールの市場も事業者間の競争が激しくって優良な代替サービスが色々あるから、ユーザ的には値上がりするなら別に他のに移ればいいやんというありがたい状況ではあり、その分提供者としては難しい。

でもそれはそれとして、サブスクってなんかムカつかれやすいというのが一般的な消費者心理としてある気がする。身辺を見渡しても、EvernoteしかりDaznとかしかり、ものすごくヘイトが溜まって一気にユーザが離れて経営が苦しくなるというのが散見される。

普通に買い切りのアプリケーションと比べて支払総額が変わらなかったとしても厳しく見られるとするなら、これは注目に値する。価値の定在形態としてサブスク的なものは買い切り的なもの=固定資本的なものとはまったく異質なものだけど、そのことはこの現象に関わっているかもしれない。

買い切り型のソフトウェア、例えばMS Office(365じゃないやつ)は、厳密に言えば自らが保有しているのではなく使用権が付与されているだけなのだけれど、企業会計においては無形固定資産として計上できる。資産であるということは、未来の利益を産むものであるということ。他方で、Office365の月額サブスク費用は資産化はできず、当期の損益計算書の費用側にダイレクトに載ってくる。しかも販管費に。まぁ一概には言えないかもしれないけど、多分大抵の経理部はそう判断せざるを得ないだろう。するとサブスクサービスは、常に必ず当期の利益を生むためのものであるということになる。資産側も毎期減価償却されていくとはいえ、内実は全然異なる。

資産は、未来へ向けての毎期の生産活動において商品価値へと徐々に転化していき、剰余価値を生む源泉となる。そして減価償却とはあくまで形式的なもので、実際にその資産が商品へと働きかける仕方を直接的に規定するものでも測定するものでもない。翻って当期費用としてのサブスク代は、利益を圧迫するものとして現れる。「売上"と "費用で利益を作る」という考え方もあるが、それでも一般的には商品価格を押し上げたり利潤を切り詰めたりするネガティブなものである。

個人にしても、この構造は同じだろう。定期定額の支払いは、未来への価値生成の促進剤としてよりかは現在の価値生成への足枷として現れる。生活上の便益に対して、サブスクのネガティブさというのは常に付きまとう。

さらに酷いことには、サブスク事業者側ではそのソフトウェアを実在的なものとして複製・配布することすらなく、限界費用もほぼゼロである。そうであるがゆえにユーザが毎月払っている月額利用料のほぼすべては新規顧客獲得のためのマーケティング費に消える。顧客獲得がゼロサムの競争だとすると、産業チェーン全体での価値循環は自ずと空転していく。

と、なんか風呂敷が広がりすぎてきた感があるが、サブスクサービスというものは不断の開発努力で既存顧客と向き合い続けることなしには自らの正統性を証明することができない、ということである。そりゃあ、一度囲い込んだユーザプールにあぐらをかいて熱心な機能改善を怠れば、いま現在の利用者が怒るのは当然だろう。

Notionも、しばらく値上げは待ってくれ。頼む〜〜!

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