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靴下が値上がりした
3足1,000円の靴下を、レジに持っていったら、1,300円だった。
あれ、これ、1,000円じゃなかったですか、と驚いたら、もう結構前に、1,300円になったんです、と店員さんが申し訳なさそうに言う。
そうか。
結構前か。
たしかに、もう長く靴下は買ってなかったけど。
でも、ずっと。もう本当に長いこと、1,000円でしたよね。でもそうなのか。物価高だからな。
物価あがらないとな。物価あがらない方がおかしいって経済の偉いひとたちも言ってたからな。日本だけですよとか。欧米ではとか。だから何さと思うけど、この国際化社会で、日本だけですよというパワーワードの決まり悪さよ。
でも、突然の300円上乗せって。この300円は、どこでどうまわって潤うひとがいるんだろうか。解せん。
と思っていたことが、顔だけでなく、ぽろぽろ口からこぼれてしまって、レジの受け渡し中に、
そうですか。
突然の300円ですか。
とぼやいたら、
住みにくいですよね、と店員さんが言ってくれたので、本当に!!と語尾をかぶせて返した。
住みにくいですね、と言ってくれた店員さんは、値上げが申し訳ないといったふうではもうなくて、わたしもこの靴下の値上げがやりきれないんですよと、同じように困ったふうで、店員さんもこの世界に同じように生きて、値上がりした靴下は社割で多少お得に買えたとしても、社割で買えないたくさんの必要なものが世の中にはたくさんあって、それは生きていくためには、どうしても必要で、それなのになんだよと、心がきゅうきゅうしているのだと思って、何か同士とめぐりあえた気がして、心強く店を出た。
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