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印鑑の半世紀の呪縛からやっとのがれられるかと思ったが…


はじめに

 そろそろある地方銀行の口座を閉じようと思う。大手のネット銀行をメインで使い、はやいもので14年になる。両者のちがいはあきらか。

前者の数十年来の紙情報の多さと窓口に出向く必要性や郵送や印鑑の手間と押印の数、その他で、安全性などを考慮に入れてもさすがにあきらめがついた。

(注:本記事の内容はあくまでもわたし個人の意見です。)

わずらわしさのきわみ

 すこしまえの本業でのできごと。顧客ごとの手書きの引き落とし請求書を毎月この銀行宛てに郵送していた。この作業、なんとかならないかと所要のついでに窓口で相談した。

すると
「フロッピーディスク(FP)もしくはMOディスクへデータを入力して、入力データのはいったFPもしくはMOを郵送できます。」
と案内された。あぜんとした。こちらはもっとOA化できる、あるいはインターネットを介した方法の相談をしたつもり。もっとわずらわしいことになる。

しかもこの21世紀も20年がすぎようとするころ。しごとでFPやMO利用の出てきたことへのおどろきとともに、もはやこれらの語のもつひびきに新鮮さすら感じた。四半世紀前の語感…。

データ伝送方式(なんか古めかしく聞こえる)はあくまでも大口の取引先むけとのこと。個人事業主で小規模に事業をするには向かない条件を提示された(現在はさすがにすこし異なるようだが)。

ながいあいだ総合口座を維持してきたが、先日、公的機関のほとんどの手つづきがサイン(自署)だけ、印鑑を必要としなくなりズボラなわたしはほっとしていた矢先。この銀行関連でまた思わぬことが。

印鑑の束縛

 先日、意外なところで印鑑を持参してくださいとの案内。公的機関の窓口での案内。この公的機関で何枚かの書類を書いたがいずれも印鑑なし。にもかかわらず振り込み口座の設定に、ある地方銀行の総合口座を使おうとして書類を書きはじめたら、印鑑をご用意くださいという。

「その銀行口座に振り込む際の銀行側の申込み書類に口座の印鑑の捺印がいる、照合のためだ。」という。まだこのやり方を踏襲していたのか、あきれてしまった。

42年前につくった口座。すでにその印鑑はさんざん使った結果ですりへり、照合がままならない。毎回のように窓口の方は難渋している。登録する印鑑を変える手つづきをすればよいのだろうが、あえてこの時期に新規に印鑑をつくることはない。

この銀行には上記の個人総合口座とはべつに事業用口座をもつ。19年まえからこの口座を本業で使っていた。当時は教える生徒たちの保護者の多くがこの地方銀行をメイン銀行としていてつごうがよかった。

引き落としの申込み書類へあらたな顧客として保護者の方々に捺印いただいてきたが、いつものように銀行から照合できないとつきかえされてしまう。チェックがきびしい。

ある方は4回もどされ、その間生徒とわたしと銀行の間で書類が行ったり来たり。申し込みに4か月かかったことがあった。そのあいだは紙袋に現金のやりとり。

こどもたちを介するので気が気でない。なかなか書類や現金袋を保護者に渡してくれるとはかぎらないし、銀行も「ふつう2か月はお待ちいただきます。」という。これを毎年のようにくりかえしてきた。いまとなってはなんとも昭和を感じる。さすがにいまは使わない。

銀行員の表情

 別件でその銀行に出向いたときのこと。たまたまネット銀行の話になり、印鑑のかわりに申し込み時のみ写真つき身分証だとわたしが話をした。窓口の行員がわたしに小声でたずねた。「やっぱり、ネット銀行べんりですか?」と聞いてきた。若い行員だった。身のふりどころを考えているのかもしれないような表情。

その銀行で、いまだに当時の口座に対して印鑑の照合が必要だったとは。てっきりわたしは印鑑の照合はいらなくなっただろうと思っていた。本人確認の手法は免許証やマイナンバーカード、指紋や顔の認証など多くある。わたしの年代でもなんなく申し込めて十数年来つかい、トラブルや不便をかんじない。

すでにネット銀行やスマホ決済に抵抗のない時代と思うのでまさかと思った。わたし自身、個人事業では暗号資産による決済利用をすでに6年前にはじめている。

ここは利用せずにほかの銀行口座をつかうことにした。そして前者の銀行との取引はもうやめようと整理しはじめている。

手つづきが延々と

 この銀行には長年にわたり世話になり非難するつもりは毛頭ない。わたしはリテラシーが高いほうでないが、自己責任でなんでも利用する。

この銀行、この印鑑の必要な口座(個人口座)に関してはかろうじて制限されたかたちでネット利用ができる。

別途系列のネット銀行口座(個人口座のみ)がつくれるが申込みがたいへん。新規口座の申込みは、ネットか郵送で申込用紙を依頼。届いたら記入、捺印して申込書を郵送するか、来店して手わたし。そのうえで審査に数週間。結果は郵送で知らせるという。なぜか有料の紙通帳の発行手つづきすら準備されている。もちろん断念した。

なぜネット銀行のようにネットから手つづきできないのだろう。複数のネット銀行でつくれている事業で使う口座はつくれないし。

おわりに

 もうこの銀行にわずらわされることはないとふと思った。自己責任。もちろんわたしにこの銀行をつかいこなせない原因があるのだろう。時流にのるのは疎いほうにもかかわらず、この銀行とは結局のところ歩調が合わなかった。

ここからさきはわたし独自の事業をすすめるうえでの見解。とどこおりなくつかえているのでネット銀行でよさそう。顧客の方々も取引口座は分散しつつある。

べつに顧客からは地方銀行を介さなくても信用がないと判断されないだろう。固定電話がそうだった。なくてもなにも問題は起こらない。廃止まえは受ける電話はあやしげな勧誘ばかりだった。個人事業に固定電話は必須でないようだ。べつに都市銀行とも取引しているし。結論をだすのは早かった。家族もうなづく。

これでつごうで最大3つ持っていた地方銀行の口座はいずれも閉じることに。

わたしたちよりわかい世代が地方銀行のほうを向いているとは思えないし。あちらこちらの銀行で統合や合併のうごきがある。時代のながれを感じる。

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