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高校化学の半分を独学でまなび、生物化学を専攻してバイオ分野の博士になるまで


はじめに

 ひょんなことで独学で学んだ分野を生業とした。こんな人生もある。迷いに迷って決めた進路が化学。生物にしようか化学にしようかと高3の夏までさきのばしにした結果の選択だった。

その経緯に関して。

小学校では

 小学校で理科に興味を示した状況に関してはべつの記事にした。


すでにちょっとハスにかまえて世の中をみがちなこどもだった。虫とりをするにしても多くのこどもたちはうごきまわりたい。たまたまその日は虫とり、飽きるとあすは三角ベースとそとでおもいっきり動ければいいし、その本質はからだをうごかすこと、なかまとたのしむこと。

ところがわたしはちょっとかわっていて、虫とりならさっとつかまえて、それをじぃ~と見つめつづける。そしてひたすらさがす子だった。なにかにはまるとずっとそればかり。うごきまわるよりはじっくり見つづけるのが好きだった。

中学では

 中学の段階ですでにテレビの高校講座(NHK教育、現在のEテレ)の化学を興味本位で見つづけていた。夜9時ごろだったと思う。かれこれ5年ほど。当時この番組の講師は東京の都立高校の先生方。名だたる進学校ばかり。説明は中学生にもわかりやすく、なにより実験が豊富でとても興味深かった。

まだまだ基礎ができていないままなので、一部の内容がむずかしいのもしかたないかと思っていた。それでも中学と直結する内容もあり、ためになった。あきもせずに毎年見つづけていた。

高校では

 高校の1年では化学Ⅰを、2年以降で化学Ⅱをまなぶ手順だった。高1の化学Ⅰをどうにか終わらせ、高2になり化学Ⅱへとすすみ頭をかかえた。東大出身の化学教師の授業は、話しかたのせいか支離滅裂に感じ、板書すらまともにとれないし頭にはいらない。予習しておいても混乱する。

これでは埒があかないと、となりのクラスの部活の友人に頼みこみ、この高校では随一と生徒たちのあいだで言われていたべつの化学教師の授業ノートを借りた。休み時間に写しとり部活のときに返し、帰宅後にそこを独学で勉強した。

授業の話を聞かずともそのノートはわかりやすく頭にすんなり入っていった。教師によってこうもちがうものかと実感。

受験では

 すでに高2の段階で理系の大学への進学を希望し、理系クラスに。大学の専攻を理学部として、将来は高校教師になろうかとぼんやり将来を思い浮かべていた。

そこで受験科目の選択。化学にするか当時急速に興味のわいてきた生物にするかで、高校3年の夏まで迷い、あいまいにしたまま受験勉強をつづけていた。

興味がむくとあっさりしたもので、高校の生物の教科書だけでなく手もちの問題集をぜんぶ解いてやることがなくなり、書店で解いていない問題をさがすぐらい。いつのまにやら生物の模試では全国でランキングに掲載された。それも友人からお前がランキングされていると聞かされるありさまで、わたしの興味はそこにはなかった。

この成績ならばランク上の大学の理学部をめざせるほど。ある質問をたずねた生物の教師からは、わたしがランクでは下のべつの大学の生物科でなく、化学科をめざすかもしれないとつたえるとおどろいていた。

その理由は

 そのころの生体物質の構造と機能を対象にする生化学が急速に進展していた。生物化学ともいう。アメリカの大学などでは学部として存在するほど発展しつつあった。化学をベースにした生物学、もしくは生物を物質や分子の立場での理解をめざす化学のひとつの部門といっていい。まさにわたしの興味にしっくりはまる。

そこで両方をできる理学部もしくはその境界を学べるところを国内の大学でさがした。すると数は多くないがいくつかあった。このうちのいくつかは実力的にだいじょうぶそうだった。

生物科にすすんだのではその分野をめざせない。当時はどの大学でも化学科のほうで生物化学を学べるようになっていた。したがって化学科へすすむべきと決めた。方針は定まった。

職業に

 はなしは一足飛びに大学にすすんでのち。大学院まですすんでやはりこの分野を選択できたのは大きかった。バイオテクノロジー、つまりバイオの分野にタイミングよく上場企業でも求人があった。ちょうどそんな時期だった。日本でもようやくバイオ分野を世のなかのヒトビトが必要としはじめて就職できる時代が訪れた。

修士まで進んだのち職を得て、論文博士を取得、ようやくその道の専門家としてのスタートをきることができた。

おわりに

 化学+生物 ➡ 生化学 ➡ バイオ、生命科学

わたしの高校時代からこんにちたずさわっている学問のジャンルの興味の対象は上のように移り変わってきた。

生命科学の分野に興味を示す中学生や高校生もいるだろう。ここからさきの時代、この分野も例外なくほかとの境界がほとんどなくなりつつある。莫大な生物の分子構造やそれらの機能情報が網羅的に蓄積されていき、いかにそれらの情報を分析、統括して生命を探ろう、医療に応用しようと試みられている時代をむかえた。

生命のなりたちをさぐるとともに、医療、食品、環境などさへの利用がさかんにすすんでいる。

これからもなくてはならない学問領域だし、そこを志す若い方々を歓迎したい。化学や生物だけでなく数学や情報などの基本を充実させておくと、バイオインフォマティックスなどこれからさきは活躍ができそう。そうアドバイスしたい。

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