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しばらくのあいだだれもおとずれていない山は腐葉土にあふれている


はじめに

 腐葉土は自然のままならば土壌の厚さにして1年で1mmもふえない、百年で1, 2㎝ほどらしい。

この記事ではおち葉➡腐熟のすすんだ状態➡腐葉土➡土壌と変化していくと仮定してしるす。わたしの生活のはんいでの腐葉土事情。

さむい時期には

 ちょうどこの時季。数年まえさかんにやっていた腐葉土あつめ。木の根のはいっている山の土壌をとるのはよくないので、あたらしい落ち葉のすぐ下の、まっくろの朽ちかけぽろぽろふかふか状態のもの(下の写真では左下のもの)をあつめる。

家に運んだそれぞれの段階のもの

とりおわったところは、もとのようにおち葉をかけてならしておくと、2,3年のちにはあつめられる。ここから土壌の状態になるまでには何十年以上もかかるらしい。はたけまではこぶとわきで1年ぐらい追熟させてからつかった。

そうしてはたけにまぜると数年間はふかふかで肥料のもちがよくなり、水はけのよさをたもてる。つまり作物にとっていごこちのよさを築ける。さむい日には一輪車をおして山みちをあがり、雑木林(タイトル写真)にはいる。わが家の山。

このあたりは陽があたると冬でもきらきらかがやくマテバシイなどの照葉樹林。腐葉土に最適といわれる樹種。したがってふるい葉が更新する春さきまででけっこうな量がたまる。

おち葉あつめについて参考までに「新宿御苑」の一例を引用。(https://fng.or.jp/shinjuku/2018/01/16/post_1005/)。


だれもいない場所

 すでに数年来だれもあつめるヒトがいないようで痕跡がない。葉のかたちはしているけど黒々していて、ふれるとポロッとくずれる落ち葉がたまっているところがあちこちにある。とてもよいかおりがする。放線菌などのだすにおい物質だそうだ。無臭になるとできあがり。腐熟がすすんで安定に。

戦後しばらくはこのあたりの山すそまで段々ばたけがひろがっていたそうだ。いまやそのおもかげはふもとからはわからない。すでに数代まえのこと。たがやしていたヒトビトの子孫はよそにでてしまい、ゆっくりと林にもどりつつある。

「おち葉は秋から冬にあつめる。」と教本にはしるされている。このおち葉たい肥をもっぱらつかいたい。おちたばかりの葉をあつめてつくるとごくわすかしかはたけへ投入できない。

運搬作業は…

 その理由はかさばるおち葉の運搬。さらに短時間の発酵では高温にならずどんぐりなどが発芽してしまい、虫の卵がかえりはたけに虫をよびこんでしまう。

やはり自然のゆったりとした時間をかけてできた腐葉土がいちばん。それでも車が入れない山みちに一輪車を2キロほど往復してのぼりくだりしおしていくので、1回で肥料ぶくろ4, 5つ程度のわずかな腐葉土しかあつめられない。

したがってずぼらなわたしは冬を越してある程度朽ちてきた状態の腐葉土になりかけのものを集める。山全体からすればとるにたらないごくごくわずかな量。それを畑に活かす。

なかなかの苦行

 1シーズンで10回ほど一輪車であつめてまわり、300~400kgほど。おち葉のままならば相当な量のはず。軽トラ何台分かもしれない。でこぼこだらけの坂道。さむい時期でも汗をかき、やせて体力のない身にはつらい。

酷使する一輪車のタイヤがいくたびかパンクしたので、ノーパンクタイヤにかえたほど。

腐葉土になりかけのものはとうめんつかわないぶぶんにまいてすきこみ、まだ葉のかたちをふくみかたさがのこるもの(昨春に落葉したものが多いかも)は山づみにして小屋のそばにおく。2, 3にぎりほど油かすをふりまぜ熱がでて朽ちたらつかうつもり。

山の落葉の量が多いのかあつめるヒトがいないのか、満足できる量をあつめられる。ホームセンターで買うといったいいくらになるだろうかと計算しながらだと惜しくなって欲がでる。

わたしはめぐまれている。家からあるいて15分で里山にはいれて、腐葉土あつめができる。戦後の食糧難かつ人口の多いころならば考えられないはず。いまではだれも腐葉土やおち葉などあつめているようすはない。


持続可能な畑づくりはなまやさしくない

 5, 6年やってみて身にしみてわかったが、フードマイレージを気にして石油燃料をなるべくつかわない農法に挑んだり、山のささ竹でトマトの支柱にしたり、あえて軽トラックではなく一輪車をつかって人力で腐葉土をあつめたりなど、だれもやらないひきあわない、からだをこわすだけでナンセンスな作業かもしれない。

それでいいと思う。しっかり腹がへるしやってみて身をもって食べ物のありがたさがわかった。早起きして行動パターンが太陽となかよく連動するようになり、なんだか生活が充実していた。

中山間地のここではさまざま不自由しがちだが、海や山に5分とかからないのは特権と思う。

街まで車をつかい必需品を買いだしにでかける。直近でも片道6キロ。なるべく宅配ではこんでもらうほうがCO2のトータルで考えるとまだましだろうが、病院や送り迎えなど自家用車をもつことは目をつぶるしかない。

環境へはマイナスになってしまう。こればかりはうしろめたい。エコをひとりでやろうとするときれいごとではすまない。


おわりに

 腐葉土あつめ、はたけづくりともかの病にともなう事情により現在はお休み中。体験をわすれないためのメモがわり。

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