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新入生について:まだ「熱い」うちの動機づけと、高校から大学への橋渡しをどうやるか


はじめに

 ことしも研究室にあらたな学生たちが訪れる。ほんの数か月前は高校生だった。進路としてある程度方向をさだめて大学の門をくぐる。

学びはとほうもなくひろがり果てしない。その森のひろがりすら知らないうちにどこから歩みをすすめ着手すればよいか、なにを手がかりとすればいいのか。たとえオリエンテーションの機会を設けられていようとも新生活になれるほうにせいいっぱいのうちになかなかピンとくるものではない。そこで…。

研究室めぐり

 きょうから新入生(一部2年生)の学生さんたちが顔をみせる。ここは研究パートでお手伝いしているキャンパスの研究室のひとつ。いつも高層階の一画で机についてあれこれ思索したり、せなかあわせの実験台とのあいだを行き来してあれこれ実験や観察したり、そのほかさまざまお手伝い。ほぼボランティアにちかい。

研究室の先生方がすこしでも研究に専念できるようにサポート役に徹している。きょうは新入生の学生さんたちを研究室にむかえ雰囲気をかんじてもらう企画。

大学の場にそれほどなじんでない数か月前は高校生だった方々ばかり。なにをどう学べばよいのか日ごろの授業にようやくついていくのがやっとの状態にちがいない。そこで専門の研究室の雰囲気だけでもあじわってもらい学びの現場をかんじてもらおうというイベント。学生たちは半年ほど研究室を複数めぐる。もちろん先生方の貴重なお時間をさらに奪っては本末転倒、そこである程度勝手を知るわたしなどにお鉢が回ってくる。

加減がむずかしい

 おとずれる学生たちは高校までの課程を終えて晴れて合格してここへたどりついてきたのはたしか。かといってこれから大学の専門課程でまなぶまでには身につけてほしいことがらはもりだくさん。ひとつはひろい教養。

ここは生命科学の現場だが、その一方で興味をひろげてむしろ文系の科目をふくめて貪欲に学んでほしい。ここで見知ったことは将来なんらかの糸口やヒント、そればかりでなく同時に交流をひろげて人生をゆたかにし、常識人として社会的に活躍するうえでの基礎となるのでぜひとも身につけてほしい。

人生のなかでからだを思う存分うごかせて、しかもゆったりとした時間にひたれる機会などそうかんたんに得られるものでない。

ありのままを見せる

 なにをしようかあれこれ考えたがふだんのままでいることにした。新入生たちにとってこの研究室の4年生や大学院生たちのようすは、ほんの数年先の自分たちのすがたにちがいない。見て聞いて手伝って実地で知ってほしい。それがいちばんかもしれない。

こうした研究室のありのままを通じてまだ足りないこと、身につけたほうがいいこと、それらと自分との相性を知れるように生身のヒトたちをつうじてすこしでも気づいてほしいし、すぐにとりかかってほしい。

おそらく

 ここで得るものはひとりひとりちがうだろうし、その軽重、濃淡すら異なるだろう。それでいいのかもしれない。高校までたどってきた道のりは家庭やそのほかの環境などふくめてひとりとしておなじヒトはいない。

それぞれに合うようにしむけることはもはやむずかしいし、それほど意味のあることとは思えない。その一方で理解や進捗の速度はちがうだろうし、尋ねられればこたえられる。相談にものりたい。

これでいいのではないか。学びをどれだけやるかやらないかもふくめて、大学の意義などそれこそヒトによって千差万別。すくなくとも身につけられるものは提供するつもり。

すこしだけ先に生まれただけの差しかないと思っている。森の周囲を歩いたにすぎない。彼らとおたがいに森のなかに分け入ってなにがあるかを探るなかまでありむしろ同輩といっていい。これから先を生きる若い人たちにはわたしを踏み台にしてほしい。


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