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わかいヒトへのメッセージ

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小学生から中・高校生むけのよみものです。なにかしらヘンなおとながブツブツ言ってるなで読みすててもらえればと思い書いています。
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#化学

高校「化学」は有機化学の単元で仕上げに:芳香族化合物の音色が聞こえる?

(2024.4.15加筆) はじめに 春まっさかりのなか。まったくいまの季節とは関係ないのですが、アブラゼミの暑い鳴き声が騒々しかったのに、いつのまにかツクツクボウシが鳴くようになると秋が近づいた証拠です。朝晩が涼しくなってきます。 高校「化学」は有機化合物が出てくると山場です。これから習う人もいるかな。ベンゼン環が出てくると「ああ、化学を勉強してるなあ」という感慨も湧いてきます。有機化合物の話にはいると生活に身近な物質が多いですから興味が出てくるかもしれません。 それ

高校「化学」を最初にのりこえていくうえでまずやりたいこと

はじめに 先日、記事のなかで高校生が「化学」をまなぶうえでぜひとも身につけたいところについてとりあげた。 どんなものにもマスターするうえでコツと言うかかんどころがある。化学についてもそうでここをのりこえられればあとはなんとかなるというところがある。そのひとつをとりあげたい。 きょうはそんな話。 元素と周期表 身のまわりの物質はどこをみわたしてももとをたどればさまざまな元素や分子からなる。たった100種ほど、そのうち主要なものはかぎられた元素の組み合わせのちがいでさまざ

化学はまさに「ばけ学」:本来どういう学問でみのまわりでどうかかわるものなのか

はじめに さまざまなヒトへ「化学(化け学)に関わり…」と自己紹介すると、聞いた方の多くは話題をほかへと移しがち。たぬきかなにかが化けるイメージ? そこであたりさわりが小さくなるかもしれないと「バイオのほうで…」とか「生化学を…」とお茶をにごしたり、「学位は農学でして…」と口にしたりするとひとまずほっとされる。 どうも「化学」ということばにある種のなにか近寄りがたい印象があるのかも。ほとんどわたしの誤解かもしれないが、1種の固定観念としてとらえられがちな「化学」について、

これから高3になり有機化学を、もしくは大学にすすんでこれから生命科学を学ぶ方へ

はじめに 高2生(まもなく高3)に化学を教えていてまもなく有機化学の単元にはいる。ここへすすむまえに分子の構造や化学結合、反応の速さと平衡についてしっかりマスターしていることが肝心かなめ。用意はいいでしょうか。 それなくしてはここからさきのとびらは重くてなかなか開かない。それらの基礎の土台をしっかりつくれていれば、とびらさえなく「なんだ中学のつづきじゃないか。」とほんの数か月ほどのまなびで目標の地点までいっきにとおりぬけていけるはず。 きょうはそんな話。 化学と生物 

「不思議な水銀の話」情報を網羅しつくすとこうなる クニのお役人さんたちがとうとう著しちゃった

(2023.9.23一部を改変。URLなどを改めました。) はじめに 大学では化学をえらび、そののち生化学に関する職に就いてたくさんの学生に接してきた。これまでの人生の過半の時間をこの分野のごく一端のはぎれのごとき微塵をかいま見るためにすごした。教えるためには本からの情報は欠かせない。 本の虫であることは幼少のころから変わりなく、興味のある領域の本や論文には食指がのびる。 この本、「不思議な水銀の話」(ネット本)は、ああ、やられたなというのが第一感。これほどの内容をだれ

化学反応のまなびかた:いくつかの元素記号と分子や電子のうごきを知ることから

はじめに 数学とならんでとっつきにくいといわれがちな理科のせかい。なかでも化学は物質からべつのものができることわりをまなぶ。 効率よく身につけるにはまずは化学のほんのいくつかのルールを知ることから。 きょうはそんな話。 講義のおてつだい 研究サポートでは学生さんと接する。大学に入学したての1年生から4年生、そして大学院生たち。その多くは高校で化学をまなんでいる。それなりに身につけて入学後もどっぷりとそのせかいに頭のてっぺんまで浸る。 専門のぶ厚いテキストを手順よくまな

手順を踏めば興味のある分野の学術論文を読めるまでになるか

はじめに  研究職からはなれてかれこれ15年ほどのころ。学位をもつ身としてときにみずからの研究分野に関してチラリと文献などをながめるぐらい。この間の学問の進展はめざましく、じゅうぶんフォローできないでいた。 ブログをつうじてこの分野を教えてほしい方との出会いがあり、中学校の教科書レベルから順に大学院レベルまで教えることになった。その学習サポートに関するこれまでのあゆみをふりかえりたい。 さいしょには  その方は理系の出身だが、ご専門は高校の科目でいえばわたしとはちがう。し