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FSP(派遣型CRO)のススメ

CRAの皆さんは「FSP」という言葉をご存知だろうか。FSPとはFunctional Service Providerの略で、わかりやすく言うと派遣型CRO(もしくは部署の一部)を指すことが多い。私は過去に受託型/派遣型両方で勤務したことがあるので、私が感じたそれぞれのメリットデメリットを書いていく。

結論

派遣型CROでキャリアを積むのは博打である

受託型/派遣型の違い

受託型は依頼者である製薬メーカーから文字通り治験のプロジェクトを受託し、自社のリソースを使ってプロジェクトを進行させる。CRAが所属するモニタリング部門の他にもDMやQCなどプロジェクトに必要な殆どのパートをCRO側で担うことも多い。

派遣型は基本製薬メーカー側のリソースでプロジェクトを進める。ピンポイントでCRAが数名足りない、PMのサポートが欲しい、といった場合に派遣型CROから数名派遣される。様々なCROから派遣される場合もある。

メリットデメリット

✓受託型CRO

メリット
派遣型CROに比べて受託しているプロジェクトや社内のリソースが潤沢であることが多い。場合により個人の希望でプロジェクトを移動することも可能である。また、規模が大きいCROが多いため所属していると安心感もある。給与もある程度保証されている。

デメリット
規模が大きいCROに勤めていると昇進スピードが遅い。分業化がされているため、CRA意外の仕事に触れることが少ない。上司ガチャでハズレを引くと昇進は困難。

✓派遣型CRO

メリット
上司は派遣元で設定されるが、ほとんど接点がないため派遣先でよっぽどのことをやらかさない限り正当に評価される。メーカーに派遣された場合、CRA以外の仕事も任される場合がある。そのため、経歴書に書ける経験が増える。短期のプロジェクトの場合、すぐに人間関係がリセットされる。また、私が勤めていた派遣型CRO特有の給与システムだが、給与が一時的に倍になった。詳細は後述する。

デメリット
派遣型CROは規模が小さいことが多いため、自分のキャリアを思うように伸ばすことが難しい。派遣の案件が多いか少ないかは完全に運であり、希望した案件に100%派遣されるかというとそんなこともない(派遣先の意向もあるので)。派遣先の意向を優先するため、中長期プロジェクトに派遣された場合受託型に比べてプロジェクトの変更がやや困難である。またCROによっては食品のプロジェクトに派遣されることもあり、その場合はキャリアが死ぬ。受託型CROに派遣されることもある。

※給与について
前述の給与だが、派遣型CROの場合、人月単価は90〜120万円である。製薬メーカーの案件は人気のため、CROに派遣される案件は比較的高価であることが多い。また、私が所属していた派遣型は特殊な給与形態を採用しており、福利厚生を減らす代わりに派遣料の殆どを支給するシステムだった。そのため給与は受託型CROにいた頃に比べ倍になったが、派遣プロジェクトが途切れた場合給与がほぼ出ないというまさに博打な環境だった。

まとめ

もし読者がJr.CRAである場合、受託型を勧める。派遣型だとそもそも採用されないことも多い。

もし読者が中堅CRAだった場合、自己主張が出来て自分のキャリアは自分で組み立てる!というタイプは派遣型を検討するのも大いにあり。というのも、私は受託型CROでCRAを数年経験した後、派遣型CROでのPMサポートを経て短期間で製薬メーカーのManagerへ転職している。受託型CROだとManagerになるまでおそらく倍はかかる。それは運が良かっただけで再現性があるとは言えないが、チャレンジする価値はある。

受託型は守られた環境で地道にキャリアを育てることが出来る点が一番大きいメリットだと考えている。自分の年齢、築いていきたいキャリア、今後のライフプラン等を考慮し選択すると良い。

自分一人で答えが出ないのであれば色々な人に相談しよう。

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