感情と看護 <サービスを考える vol.5>

コールセンターは離職率が高いと言われている。改善のヒントが無いかと色々調べていると、看護師の職場もコールセンターと似た悩みを抱えていることに気づいた。


看護学校での長期の教育から実践の場に出たときの現実とのギャップから受けるショックを「リアリティショック」と表現することがある。

 それはつまり「最初、新人は患者に何がなされるべきかを全部わからないし、患者の期待に見合うだけの能力もないと思っている。しばらくすると受け持ちの患者の期待すべてに応えることができないということがわかってくる。自分自身のなかではすべての患者の期待を満たすべきだという規範があり、仲間や婦長からの期待もある。そんななかで新人はどうしようもない状況に陥る」ということだ。

 24時間、365日の仕事であること。ベテランになっても技術や知識の評価がされにくく、キャリアを組み立てたり、仕事で成長していると感じるのが難しいことなどはコールセンターと似ている。
その中で特に今回は、仕事における精神的な負担について考察した本を紹介したい。
 「感情と看護 ―人とのかかわりを職業にすることの意味」の著者は精神科病棟での看護経験から、特に看護師の精神への負担について詳しく考察している。

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