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病院と診療所

ここをたまたま見てるかもしれない皆さんは診療所が病院じゃないって知ってました?
わたしは知らなかった
何を言ってるかわからねーと思うがそのまんまの意味である。

家族が「ここんとこずっと腰が痛くて…」とか
「微熱が下がらない」とか言ってたら、
「早いこと病院行っておいでよ」
って言いません?

でもこの場合、多くの人が行くのは近所の「〇〇医院」や「✕✕クリニック」で、これらは病院ではないのだ。

ある医療機関について、「病院」なのか「診療所(クリニック、医院)」なのかそれ以外なのか
それは<医療法>という法律で厳密に定義されている
ということを知ったのは、今の仕事をするようになってから。

1 この法律において、「病院」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。病院は、傷病者が、科学的でかつ適正な診療を受けることができる便宜を与えることを主たる目的として組織され、かつ、運営されるものでなければならない。

2 この法律において、「診療所」とは、医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。

医療法第1条の5 より

入院設備が、同時に20人以上受け入れ可能なら病院、19人までなら診療所。
この何人まで入院できるか、というのを「(数字)床」という。
ちなみに病院は全国でおよそ8,000機関あるが、診療所の数は110,000機関ほどありそのうちの約9割は無床…入院設備のない医療機関とのこと。

他にも、ドクターが3名以上所属してるかとか外来患者さん40人に対しドクター1名以上とか、なんかいろいろあるらしい。

ちなみにこれ、条文の後半も味わい深いよね
病院は「科学的かつ適正な診療」が行えなければならない。
それを受けるかどうか決めるのは患者であって、病院はあくまで「便宜を与える」。
「科学的」ってあえて法律に記載されてるのだいじ。

病院はさらに、100床以上で診療科目に特定の科が含まれて特定の設備(手術室とか)があると「総合病院」の承認を受けることができて
200床以上になると「大病院」に分類され、紹介状を持たずに受診した患者からは以前の投稿にも出した「選定療養費」を取ることが義務付けられる。
さらにさらにこの「大病院」には「特定機能病院」「地域医療支援病院」「臨床研究中核病院」などがあり、それぞれに設定された要件をクリアした施設のみ自治体や国から認可される。

というように病院であるためには様々な条件があるので、診療所やクリニック、医院は病院ではない、ということになる。

でも一般的には医療機関の総称として「病院」って使ってる人のほうが圧倒的に多いと思うけど…
分かってても通じにくいから身近な人には「病院行ったほうがいいよ」って言っちゃうしね。

病院にはほかにも病床の機能(どんな人を入院させるための設備なのか)による分類があって
それぞれに受け入れるべき患者が違ったりとかさっさと退院させなきゃいけない制約とかがあって知れば知るほど「気軽に行くとこじゃねえな」ってなるんですが

まあその話はまたいつか。

そろそろ病院という文字面がゲシュタルト崩壊してきたので
このへんでおしまい。

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