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コンクリート構造物の長寿命化を実現する電気防食工法の基本を学ぶ

コンクリート構造物は適切に設計・施工・維持管理すれば、極めて長持ちします。しかし、適切な管理がされず、想定以上の厳しい環境下の場合など、劣化が生じ、補修・補強などの対策が必要になります。コンクリート構造物の劣化の原因でよく見られるのが塩害。これによりコンクリート中の鉄筋、鋼材が腐食するという問題が起こります。その対処法のひとつとして頼りになるのが「電気化学的防食工法」です。
電気防食工法とは、電気化学的作用によってコンクリート中の鋼材腐食の進行を直接的にコントロールする工法であり、既に多くの実績によってその有効性が確認されています。

「改訂版 コンクリート構造物の電気防食Q&A」では、コンクリート構造物の腐食の原因となる塩害とは何か、錆の原因、腐食を抑制する方法などの基本的な内容を解説する基礎編、電気化学的防食工法を始めとする入門編、実務的な内容を含む施工編、維持管理編と5章にわたって系統的にQ&A形式で掲載しています。

【基礎編】は、基本的な用語の解説をはじめ、17のQ&Aを掲載

Q1:塩害とは何ですか?
Q2:なぜ鉄は錆びるのですか?
Q3:鋼材はコンクリートのなかでどのように保護されているのですか?
Q4:コンクリートの中の鋼材がさびるとどうなりますか?
Q5:なぜ塩化物イオンがあると鋼材は錆びやすくなるのですか?
Q6:腐食発生限界塩化物イオン濃度とは何ですか?
Q7 :塩害のほかに鋼材が錆びることはありますか? etc…

基礎巌のQ&Aの一例。図解でわかりやすい

【入門編】は、電気防食工法とは何かを丁寧に解説

入門編 Q06:電気防食はどのようなところに適用しますか?
Answer
電気防食は、さまざまな環境にあるコンクリート構造物に適用できます。
電気防食は、塩害や中性化によるコンクリート中の鋼材の腐食対策として用います。すなわち、その適用対象は、鋼材の腐食が問題となるコンクリート構造物や、これからの供用期間中において問題となる可能性のあるコンクリート構造物です。もちろん、新設構造物やプレストレストコンクリート(PC)にも適用できます。(中略)
劣化程度においては、加速期や劣化期の場合、防食対象とするコンクリート構造物には劣化が顕在化しており、このような場合には、他の補修工法や補強工法を併用して、電気防食工法を適用します。
PC鋼材を含む部材に電気防食を適用し、過剰な通電量になった場合には、PC鋼材が水素脆化する可能性があるので、鋼材の電位を水素が発生しないようにするための設計ならびに維持管理が必要です。(続く)

【基礎編】【施工編】【維持管理編】は、実務的な内容に特化

設計に関する参考図書の紹介をはじめ、防食設計・施工の手順、どのような材料を使うのか、耐用年数、維持管理のための点検手法など、多岐にわたり図表や写真を用いて解説しています。

施工編のQ&A。図と共に実際の施工写真も掲載して解説

電気防食の歴史や実際にこの工法が使われている事例の紹介など、コラムも役立つ内容になっています。

気になる豆知識などのコラムも充実

【書誌情報】
「改訂版 コンクリート構造物の電気防食Q&A」
A5判・200頁
編者:日本エルガード協会
発行:新建新聞社

監修
鹿児島大学 教授 博士(工学) 山口明伸
東北大学 准教授(工学) 皆川浩
推薦
東洋大学 名誉教授 福手 勤
京都大学 名誉教授 宮川 豊章

■Contents
用語の説明
1章 基礎編
2章 入門編
3章 設計編
4章 施工編
5章 維持管理編

本書は、電気防食工法をこれから学ぶ人や、発注、設計、施工、維持管理の各ステージに携わる技術者、実務者に役立つ最新の知識とノウハウが詰め込まれています。Q&A形式と図による解説で初心者にも最適です。