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泉幸甫設計の格子を通して自然を感じる、浅間山麓に佇む住まい

標高1000m近い浅間山麓の別荘地に建てられた永住型の住まい「佇々浅間ちょちょせんげん」。自然の豊かさを生かして、一方向だけに開口を取るのではなく、いろいろな方向に抜けがあるようにしている点が特徴のひとつ。リビング・ダイニングは南側に、和室は北側に、寝室は西側にそれぞれ掃き出しの窓を設け、「方位によってさまざまな姿を見せる自然をいつも感じられるようにしたいと思った」と建築家の泉幸甫氏は話します。

夏は高原の心地よい風が吹き抜けるように窓が設けられており、リビング・ダイニングには格子付きの網戸を設置しています。これは、鍵を内側からかけることができるので、近所へのちょっとした買い物のときには面倒な戸締りの必要がありません。

しかし、自然が豊かといっても寒冷の高地であるため、壁にはセルロースファイバーをぎっしりと充填し、断熱性能を高めました。また、地下に浅間砂利を敷いた中に深夜電力による電気ヒーターを通す全館暖房方式で、氷点下10℃にも下がる気温にも対応しています。

また、寒冷地での洗濯物は乾きにくい現状があります。そのために2階にはトップライトをつけたサンルームを設置するなど、豊かな自然を享受できるようにするだけでなく、厳しい自然環境にも対応できる住まいです。
(「和風住宅23」(2018年7月発行)より)

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リビング・ダイニングにはデッキが接続し、
南側の網戸付き格子越しに庭先の緑が楽しめます。

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南西側から見た外観。格子のデザインと
軒裏が落ち着いた雰囲気。

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リビングから4畳半の和室と階段を見たところ。
和室は北東方向に障子の開口をもっています。

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玄関からは右側に和室、前方にLDKが続きます。

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和室の床の間。葦の天井、錆丸太の床柱で仕上げています。

設計/泉幸甫建築研究所
施工/リモデル

(写真/小川重雄)

泉幸甫設計の「佇々浅間(ちょちょせんげん)」は「和風住宅23」に掲載しています。この号のテーマは「数寄屋の魅力を探る」。他の建築家や地域の工務店の住宅事例もたくさん掲載しています。ぜひご覧ください!

最新号は「和風住宅26」(2021年7月発行)。特集は「木の適材適所」。こちらも見どころ満載です。