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戦略なしではリタイア後に孤立する

光熱費削減や、熱中症・ヒートショック予防の観点から、暑さ・寒さの温度差を感じない快適に暮らせる高断熱住宅の必要性がうたわれています。

書籍人生を変える住まいと健康のリノベーションでは、住宅の断熱性能を向上させると健康にどうつながっていくのか、「熱環境リフォーム」の提案者 甲斐徹郎さんと、「熱環境×健康長寿」の研究者 星旦二さんが解説しています。

6章では、アクティブシニアにとっての幸福戦略は、元気で動ける今のことだけを考えるのではなく、身体が衰える将来を見越して「暮らしの場」との関わり方がどうして必要なのか、また、セカンドステージの住まいづくりのカギとなる「主体性の回復」などについて紐解きます。

6章 戦略なしではリタイア後に孤立する

私たちが「幸福」だと感じる本質はなんでしょうか。
その本質を考察するとコミュニティの重要性が浮かび上がってきます。
「暮らしの場」という考えを、「家」という物理的な領域に限定せずに、
地域のコミュニティにまで拡張して、セカンドステージの幸福戦略を考えてみたいと思います。

『人生を変える住まいと健康のリノベーション』6章冒頭

「あなたにとってのコミュニティは?」と問われたら、気の合う仲間との集いの場面を思い浮かべる方が多いのではないかと思います。では、暮らしの場における身近な人たちとの人間関係はどうでしょうか。

現代の日本社会においては、世代を問わず、地域社会における隣人との関係を「煩わしい」ととらえて積極的に関わろうとしない傾向があります。そうした傾向には、「便利になると人間関係が省かれる」という時代の必然的な流れが作用しているのだと思います。

技術の進化によって住宅の利便性が大きく向上したのとは裏腹に、地域における人と人との関係性が希薄化するという状況は、高度成長期以降、日本の各地で進行していきました。そして「隣人との協力を必要としない生活」は、いとも簡単に「孤立」という境遇を招きます。

地域での人間関係に頼らなくても生きていけるくらい便利な世の中になったのなら、「地域コミュニティってそもそも必要なのだろうか?」という疑問がわくかもしれません。

「コミュニティはなぜ必要か」、そしてセカンドステージにおける生活スタイルは、その先の時間軸での変化を加味して考える必要があります。

身体能力が衰え、暮らしの場が中心とならざるを得ないライフスタイルとなったときに、生活領域は一気に狭まります。帰属する集団の有無は、個人に取っての「生きる力」、さらには「幸福感」に大きく影響します。

こういったコミュニティの必要性のほか、暮らしの場における「主体性の回復」という気づきから、人生を豊かにするヒントを説いていきます。

6章のポイント

  1. 技術の進化により「便利になると人間関係が省かれる」という社会構造が、コミュニティをますます希薄化している

  2. 私たちの幸福感を支えるものは「自己肯定感」である。つまり、他社の存在は自己の幸福感にとって不可欠である

  3. やがて来る身体能力の衰えを見越して、元気なうちに暮らしの場でのコミュニティとのつながりをつくることが重要である

  4. 創造的な暮らしを続けるためには、「与えられる側」にならず、暮らしにおける「主体性の回復」がカギになる

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