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日本の美しい建築文化を後世に残したいという思いを形にした建築家・川口通正さん設計の「月明と数寄」

建築家・川口通正さん設計の「月明と数寄」は、神奈川県の自然豊かな場所に建つ数寄屋建築です。川口さんは、敷地にもともとある大木は伐採しないことを最初に決め、開口の大きさと位置については、それらの樹形をどのように生け採るかを課題にしたそう。

敷地の形状の関係で、母屋・離れ・門・車庫と奥から順に建てることになり、完成までに長い歳月を要しました。「月明と数寄」は、木造の伝統的な技術と建築文化を後世に残したいという建て主の思いにこたえる形で実現した「離れ」。敷地内に流れる川側へ緩やかに下っている地形を生かし、緑を効果的に採り込むために少し高めに設定したといいます。

「離れ」には、10畳と8畳の和室があります。8畳の和室には、琵琶床と書院を備え、書院欄間は杉柾で川に流れる紅葉を透かし彫りにしています。

母屋と離れをつなぐ渡り廊下の先には10畳和室。
アプローチも豊かな自然に満ちている。

この「離れ」の工事をした数寄屋大工は、棟梁以外30代と若手ぞろい。棟梁から職人の技をしっかり受け継ぎながら、とてもきめ細やかな仕事ぶりを発揮していたそう。そんな職人たちの技と心意気、和の神髄が感じられる「離れ」をぜひ本誌でご覧ください。

(写真/小林浩志)

上記の川口通正さん設計の「月明と数寄」は、「和風住宅26」に掲載しています。たくさんの写真と図面、数寄屋部分の施工を担当した鈴木工務店による木材の解説もあります。ぜひ本誌をご覧ください(^^)/