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【読みビト:真夜中の漂泊者たち】

今回は下記の本です。

真夜中の漂泊者たち
楽 光一
Project T.A.C.文庫

ブング•ジャムの他故壁氏さんの別名義「楽光一」さんによる同人小説。初めてです。
自分自身、同人小説の位置付けがよく分からない(スミマセン)のですが、とにかく読んでみました。

9/17(日)に浅草橋で開催された「第3回文具マーケット」にてご本人から直接購入した、3冊の内の一冊目。

高校生が主役の青春譚ですが、書かれている時代が当時の自分の年齢にドンピシャで、すっかりタイムスリップしてしまいました。
著者も自身とほぼ同世代のようで、然り、と思いました。

以前、何かの本に『小説は「物語」と「描写」が大切』といった記載があり、妙に納得した記憶があります。
自分は「読み巧者」ではなく、ただの「読みビト」なので、以来この言葉を念頭に小説を読むようにしています。

自分は小説については、学生(主に中、高、大学)が主人公の作品は殆ど読まない傾向があります。と云うのも、社会人になってからの人生が濃すぎる(笑)のか、当時の記憶の大半が上書きされてしまっていて、覚えていることがとても少ないのです。
その上、時代背景が異なると全く作品に入り込めず、空疎な時間になってしまうので。

しかし、本作を読み進めるうちに、不思議と当時(主に高校時代)の記憶がハッキリと甦ってくるのを感じました。
これは読書史上、初めての経験でした。

とりわけ、当時流行っていた音楽に関する記述に強く反応しました。
やはり、音楽のチカラは凄いですね。よく言われるように、一瞬でその時代に戻ります。
「音楽」と云っても「音楽という文字」なんですけどね笑。

作中にあった、復活したグループサウンズのヒット曲や歌詞の無いフュージョンサウンド等がトリガーとなり、一部突っ込みどころも有りつつ、その後は小説の世界に徐々に取り込まれて行きました。

音楽以外の記載でも、「あゝ、こういう部活はあったなぁ」とか、文具の記述については「流石」の一言です(因みに当方はついていけません、悪しからず)。

そんな具合で、頁数の関係も手伝って一気に読んでしまいました。

全体的に楽しく読了しましたが、先程も書いたように「描写」がハマり「物語」に連動すると、こんなにも読書は楽しくなるのだなぁ、という新たな発見がありました。

毎度の決まり文句で恐縮ですが、これだから読書は止められませんな。(k)

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