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批評の座標――批評の地勢図を引き直す

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■2023年4月から連載開始、月2回記事を掲載します(4月は1回のみ、1年間連載予定)。 ■書き手は新進気鋭の批評家・ライターの方がたにお願いします。
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#保田與重郎

【批評の座標 第11回】セカイ創造者保田与重郎――詩・イロニー・日本(武久真士)

【批評の座標 第11回】セカイ創造者保田与重郎――詩・イロニー・日本(武久真士)


セカイ創造者保田与重郎――詩・イロニー・日本

武久真士

1、「詩」と「詩的なもの」

今年(2023年)の7月に『ユリイカ』の大江健三郎特集が発売された。全650ページにおよぶこの雑誌を流し読みする中で、僕の印象に残ったのは大江の「詩」に関する話題だ。大江にとってどうやら詩とは、テロルと結びついたり散文的なリアリズムに対抗できたりするものらしい。なんだかひどくロマンチックな話じゃないだろうか

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