近郡への外出と降雨

他所のカウンティに小旅行するのは隣県に遊びに行く時のような楽しさがあるので、たまにはそういうのも悪くないなと思う。大阪から和歌山へ、東京から茨城へ。

今回のメインゴールの1つはPioneertown。1946年にオープンしたウエスタン調の集落で、近くにはPalm SpringsやJoshua Tree National Parkが位置している。西部劇のセットを思わせるような街並みになっていて、規模としては非常に小さい。ざっと見るだけなら30分もあれば充分かもしれないし、歴史好きなら泊まるのも良いかもしれない。お店は恐らく10軒前後。中をチラッと覗いた感じ、雑貨や服などが主に売られているようだった。最近物欲レベルがゼロ付近をウロウロしているので、案の定何も買うことはなかった。食べ処は恐らくタコスがウリっぽいバー的な何かが1軒と、今回立ち寄ったレストランが1軒。ベイビーバックリブステーキが美味しかった。店内はお昼時なこともあって非常に混雑していた。辺境の極小集落だが観光に来る人は少なくないようだ。今しがたググってみて分かったことだが、時折ライブなんかも開催しているらしい。

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南カリフォルニアといえば年間を通じて降雨が少ないことで有名だが、去年も体感的には10回くらいしか降らなかったのではなかろうか。というくらいには雨が珍しいし、日常的に傘も雨具もほとんど必要ない。道路の水捌けはすこぶる悪いし、土砂降りなんて起きた日には市民総出で動画を撮りだす始末。布製ソファも平気で屋外に放置されている。今回はその降雨が終日、いや数日続いているのだから、珍しいどころの騒ぎではない。本来の相場的には、降ってもまあ長くて数時間といったところだろう。日本の梅雨時に当たり前に見られる光景が当地では摩訶不思議に映り、そして大変な不便を強いてくる。生活全体において一切の雨を想定していないので、ひとたび降雨があろうものなら全ての歯車に狂いが生じてしまうのである。今回の小旅行はその影響をモロに受ける形になってしまった。

なんでも"冬の嵐"が来ていたようで、一部地域には自主避難命令すらも出ていたらしい。Pioneertownは山あいの地域にあり、近くには風力発電用の風車が所狭しと設置されている。そんな土地柄、雨は弱まるどころが暴風を伴うものになっていて、着いた頃にはミニマムレベルだった雨足も、昼食を食べ終わる頃にはガッツリの雨、The 雨、雨 of 雨、a.k.a. 土砂降りへと姿を変えていた。珍しすぎる。久々登場のビニール傘。泣いて喜んでいるかと思ったら強雨に濡れているだけだった。集落の辺りは道路が未舗装で、どこも砂っぽい地面になっている。平時であればただの乾燥地に過ぎないが、有事にはそれがとんでもない罠として作用する。車内に駆け戻ってみると足元は砂利まみれ。両足のスニーカーたちがしっかりお持ち帰りしてくれたようだ。近日中のクリーニング不可避。傘は普段トランクの中に放置されていて、日の目を見ることは無いかに思われたが、備えあれば憂いなしとはこのことだなあとつくづく実感した。

その後も雨は止むことなく、他に訪問予定だった場所も早々に切り上げるか、内容がイマイチか、なんとなく妥協する羽目になった。何より服が濡れて寒かった。それでも十分楽しめたとは思うが、場所の持つポテンシャルが100%引き出されていなかったのが少々寂しかった気がしなくもない。道中のフリーウェイも混み倒していた。30分で到着するはずの場所に120分超かけて辿り着くホラー。とことんイレギュラーな1日だった。普段運転が荒いカリフォルニア市民たちも、さすがにスピードを落とすし、事故も普段より多めに起こすし、このホラー展開は必然だったのだろう。車内清掃も不可避、激烈渋滞も不可避。これで干ばつが緩和されていなかったら何のための降雨だということになるので、この一連の嵐にも多少のメリットがあったのだと信じたい。いや、そういえば1つあった。先日ボンネットに落とされた鳥のフンがキレイサッパリ洗い流されていたのだ。あれは朗報と言って良いだろう。

小旅行から帰った後も、相変わらずグズグズとした空模様が続いている。来週もなんとなく天気が良くないらしい。気温も心なしか去年よりも低い感じがする。半袖短パンスタイルからの脱却。エアコンへの依存。日本の晩秋を思わせる生活。それでもなお半袖レギンススタイルで買い物するカリフォルニア女性たちがいるのは驚愕の一言で、頭が上がらないというか、どういう皮膚の構造してるんだというか、パーカーにウルトラライトダウンを重ね着してもまだブルブルしている自分って何なの?というか。元々寒さに強い方ではなく「好きな天気は夏です」と即答するタイプだったが、この1年で輪をかけて耐寒性能が下がってしまったように思う。これもまた地中海性気候の成せる業なのだろう。取り敢えずこのまま無事に越冬を果たして、また常夏気分の半袖短パンわんぱくライフに戻れたらなあと、今のうちから祈っておこうと思う。

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