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ずっと旅でいいじゃない。

この夏、親しくさせてもらっていた友人家族が数組、日本に帰国する。それぞれに理由や事情は異なるが、その決断の潔さと、身軽さに、惚れ惚れしている。

2年前に友人で「パクチーハウス」というユニークな飲食店を営む(現在は無店舗展開)佐谷さんと、パクチーハウス@デン・ハーグという、小さな交流会を主催した。

その時も、運営側として佐谷を横で見ながら動いていて、同じようなことを感じたのを思い出した。

その頃、私はちょうどオランダ生活2年目に突入してまもない時期だった。
1年目は旅行気分の延長だったのが、
一年経ち、少し生活が落ち着いてくると、言いようのない不安に襲われた。いつまでも旅行気分で生活してたらまずい気がしつつ、どうしたらいいか分からなくなっていた。

そんな話をしたら、佐谷さんからはこんな返事が返ってきた。

(僕は)ずっと旅行気分です!っていうか、ずっと旅でいいじゃない!

そんな佐谷さんの会社の名前は「旅と平和」である。

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思うんだけど、人は不安を振り払うために、自分の選択を肯定しようとする。その結果、自分の選択や過去に囚われてしまうことがある。

オランダに私たち家族が引っ越したのは、それが「したかった」からで、別に何かの確信があった訳じゃない。ただ、その時に「これにしよう」と選び取った、一つの選択である。いいも悪いも、へったくれもない。

なのに、なんとなく感じ始めた不安から、私は「オランダ移住」を良かったことにするために、何かをしなきゃいけないような気持ちになっていた。

***

私なりに解釈すると、旅するように生きると言うことは、何かを「絶対」とせず、常に「仮定」で生きると言うことだ。「仮定」で生きるのは、不安を生じさせる。でも、代わりにそこには「余白」が生まれて、予想もしなかった事も起こりうる。面白いことが起こる可能性が増える。

偉大な女優の樹木希林さんもこう言っている:

おごらず、
他人と比べず、
面白がって平気に、
生きればいい
- 樹木希林

そもそも生きることなんて全てが「仮定」じゃないか。
私達はこれからもオランダでしばらく暮らしていく予定である。

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