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損害保険会社の示談交渉

そもそも損害保険会社は、示談交渉に介入できる?できない?

損害保険会社の自動車保険には、さまざまなオプションがついています。
交通事故の相手方との交渉を代行する「示談交渉サービス」もそのひとつです。しかし、損害保険会社は全て相手方と交渉できるわけではありません。場合によっては、示談交渉サービスが利用できない場合もあります。

今回は、交通事故の示談交渉における損害保険会社の対応について、交渉に介入できないケースや代行してもらえない際の対処法をご紹介します。

 ■自動車保険には「示談交渉サービス」が付帯されている

「示談交渉サービス」とは、契約者に代わって損害保険会社が交通事故の相手方と交渉をおこなってくれるサービスです。

「個人賠償責任特約」や「個人賠責任特約包括契約に関する特約」を付けることで、補償対象となる事故に限り「示談交渉サービス」が利用できるケースがあります。

  • 交通事故における示談交渉とは?

事故の当事者同士で、以下の話し合いをすることを指します。

  1. 損害の内容

  2. 損害賠償の金額

  3. 過失割合

こうした交渉は、交通事故対応の経験や法律に関する知識が必要です。

また、話し合いで解決できない場合、損害保険会社によっては弁護士への依頼や裁判の手続きなども代行してくれます。自分で交渉するとなれば時間や労力がかかりますが、損害保険会社に任せることで相手方とのやりとりから解放されます。

  交通事故の示談交渉に介入できるケース

被保険者に過失がある場合のみ示談交渉サービスが利用可能。

交通事故は、たいてい当事者双方ともに過失があるとみなされます。しかし、当て逃げ、もらい事故といった被害者側に一切の責任が生じない事故もあります。
過失が生じないということは、損害保険会社が相手方に損害賠償金を支払う必要がないということであり、損害保険会社に金銭的な利害関係が発生しません。

この場合、損害保険会社が示談交渉をすると弁護士法に抵触します。よって過失のない被害者側の損害保険会社は相手方と話し合いをすることができません。

  • 弁護士法 第72条

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
出典・引用元:e-GOV法令検索『弁護士法』より抜粋

また、損害保険会社の「示談交渉サービス」を利用するには、交通事故の相手方の同意が必要です。法律上、損害保険会社は交通事故の当事者といえないため、相手方の同意が得られなければ「示談交渉サービス」が利用できません。


  • 「示談交渉サービス」利用できない場合の対処法

自分に過失がない交通事故、または相手方に「示談交渉サービス」の利用を同意してもらえなかった場合、どうしたらいいでしょうか。

損害保険会社は、前述のとおり過失ゼロの被害者に代わって相手方と話し合うことはできません。しかし、弁護士なら過失のない被害者の代理人となって示談交渉が可能です。

自分で示談交渉するには負担がかかるうえ、交渉に慣れている相手方の損害保険会社が有利になるように進められるかもしれません。法律知識や示談交渉の経験がなければ、相手方が提示する損害賠償が本当に適切なのか判断できないことも考えられます。

  • 弁護士に依頼する際の費用

自動車保険に「弁護士費用特約」がついているか確認しましょう。
「弁護士費用特約」があれば、弁護士報酬や訴訟費用について上限300万円の支払いが可能です。

また、ご家族の誰かが特約をつけていれば世帯全員が対象になる場合もあります。ご家族全員の保険内容を今一度ご確認ください。

まとめ


損害保険会社の自動車保険には「示談交渉代行サービス」があります。ただし、利用できるのは被保険者に過失がある場合のみです。

当て逃げやもらい事故など、一方に過失が生じない交通事故の場合、その被害者は損害保険会社に示談代行してもらえません。

その場合は自分で交渉するか、弁護士に依頼するかになります。自分で交渉するには大きな心労が伴うため、交通事故対応に慣れている弁護士にお任せすることをおすすめします。

交通事故に遭われて症状や通院先でお悩みの方、どうしようか聞くべきか?と悩んだ時点でご連絡ください!


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