2021夢日記 逃走とシェフのオムレツ ji-jyo 5月13日
僕は今年に入ってから毎日、夢日記を書いている。過去のものは月別のマガジンをご覧ください。
昨日の夢は怖さと美味しさの混じったような展開だった。
始まりは暗い森の中、僕は曇り空を見上げながら必死に逃げ回っていた。
空からはプロペラが回っている轟音が鳴り響き、遠くの方では激しい閃光が放たれた後、大きな爆発音まで聞こえてきた。
どうやら空襲の中を逃げ待っているようだった。
なんでこんなことに巻き込まれてるのかさっぱりわからなかった。
向かうべき場所もわからないまま、ただひたすらに森の中を走っていた。
息も切れ切れになり、もう走るのは無理だと思った頃、大きな岩の下にぽっかりと口を開けた洞穴のようなものを発見した。
とりあえずあそこの中に入って身を潜めよう。
もしかしたら、先客の動物なんかがいるかもしれない。毒蛇なんかが出てきたらどうしよう。
そんな不安も拭えないところだったが、このまま表にいて爆撃を食らえば、それこそ命を奪われかねない。
僕には選択の余地はなかった。
入り口は体2つ分くらいしかなかったが、中はずいぶん奥まで続いているようだ。
ただ、何も明かりを灯せるようなものも、火を起こせる道具もない。
奥へ行きたいが、この暗闇を進む勇気はなかなか沸いてはこない。
しばらく、入り口から少し入ったところでしゃがみ込み上がった息を落ち着かせていた。
すると洞穴の奥の方から、ゆらゆらと揺れる明かりが出てくるのが見えた。
誰かいるのか?
壁に映るあの明かりはきっと火によるものだろう。何か、松明のような。
『おい! 誰かいるのか?』
奥のほうからおじさんの声が聞こえてきた。
聞き覚えのある声のような気がした。
『はい! 空襲から逃げてきました!』
『それじゃあこっちにおいで!』
僕は招き入れてくれた優しいおじさんのご厚意に甘えて、洞窟の奥へと入っていった。
奥には小さく火が起こされた、広めのスペースがあった。
振り返ったおじさんを見て、聞き覚えのあるおじさんが誰かようやくわかった。
僕を招き入れてくれたのは三國シェフだった。
『ここなら安全、とは言えないけど、外にいるよりはましだろう。』
『いつからここにいらっしゃるのですか?』
『もう3ヵ月くらいにはなるかな。いや、もっとか。もうどれくらいになるかもよくわからない。』
そんなに長くここで過ごしていたのか。しかも一人で。
『お腹は空いてるかい?』
『えっ? 食べ物があるのですか? でも、いただくのは気が引けます…』
『いいんだよ。どうせ取って置いたところで明日も生きていられるかなんてわからないんだから。』
『では…いただきます。』
そんなやり取りの後、シェフはどこから取ってきたのか卵を2つ持ってきて、鉄板を火の上で温め出した。
こんな状況だ。もちろん調味料なんてものは…
そんなことを考えていると、シェフは胸ポケットから塩の入った小瓶を取り出して、
『これ。僕はいつ何どきでも塩だけは欠かさずもってるんだよね。』
そう自慢気に溶いた卵に塩を入れていく。
油も敷いてないただの鉄板なのに、シェフは器用に卵を焼き上げた。完成したそれは、なんとも見事なオムレツだった。
『さあ、食べな。』
シェフが差し出してくれたそのオムレツは、塩しか入れていないのに、なんとも味わい深いものだった。
シェフの味に感銘を受けた当たりで今日は目が覚めた。
変な夢だった。けど、いつか三國シェフのお店で料理を食べてみたいと思う朝だった。
さて、明日も夢日記を書いていこう。
【2021 4月夢日記 ~ji-jyo~】
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