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母の似顔絵(その二:父の死)


父が最近死んだ。
日本人男性の平均寿命よりみじかめだった。肝がんから胃がんへ、そして腰へ。

家の玄関に入ると、わたしの描いた絵が飾られている。
金色に波うつ小さな額縁には、わたしが描いた母の似顔絵。
保育園時代のものらしい。かれこれ五十年ほど経つわけだ。

母は今でもおぼえている。
無造作にまるめた一枚の画用紙を、わたしが保育園から持ちかえった時のことを。


だれ?
おかあさん

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