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遠野 六角牛山でアレが

遠野は盆地なうえに、街自体の標高が高いので、寒さが厳しい。
我家は標高450mほどあるので、冬の寒さは半端ではない。
一度、-20℃まで冷えたことがあったが、朝方は寒くて寝ていられず、薪ストーブをガンガン焚いて、一息ついたことがある。
薪は、裏の杉林を間伐すればいくらでもできるので、チェンソー購入や、薪割の労力さえ厭わなければ、困ることはない。
寒い代わりに、雪はほとんど降らないので、毎朝雪かきをする労働からは解放される。時々降っても、近所の方が、トラクターで除雪をしてくれるので、寄せた雪を片付ける程度で済む。
そんなに寒くても、2月になれば日向には福寿草が咲くし、3月からは渓流に行けば雪のすきまから岩魚が釣れる。
六角石神社手前から、岩魚を釣りながら六角牛山を目指したことがあったが、クマの気配が濃厚すぎて、途中のダムで戻ってきたことがあった。
なにせ、家の前にクマがいて、有線放送では○○でクマが出ましたと流れるほどだから、電柵を付けても意味ないじゃん、という感じだ。
六角牛に登るには、峠側から入れば、ゆっくりと歩いても1時間30分ほどで頂上に着く。帰りも、来た道を戻れば、迷うこともなく、一時間ほどで駐車場に着く。
中沢川から入る方法もあるが、峠側から登り、中沢側へ降りるというのが、順当なコースだ。

ここに登山道があったことを知らない
根こそぎ切り尽くす


それを中沢側から登った時のことだ。
途中までは、快適な林間コースで、標識やピンテもあって登りやすい道だったが、いきなり伐採跡地に出たら、登山道が壊されており、どこをどう歩けばいいのかわからない。
大規模な皆伐跡地は、見るからにいたましい。
太いブナの木も倒されており、どんな理由が有ろうとも、これはひどいなあと、足取りが急に重くなる。
醜い伐採地をようやく抜けると、笹に覆われて道が隠されている。
しゃがんで、笹の隙間を歩くしかないが、腰が疲れるので、顔に当たる笹を我慢して立って歩く。
たっぷりと笹ビンタをもらっていたら、突然「ガウウウウウ~」という、アレが唸る声がする。
腰のクマスプレーを取り出し、笛を鳴らし、大声で「コラ~」とか「オリャ~」などと、喚きながら笹の道を通過する。
心臓はレッドゾーン、膝はガクガク、冷や汗三斗。
ザックに、家で使っている鳥獣用ピストルを入れてきたのを思い出した。
八連発S&Wレボルバーがカッコいい。弾もたっぷりあるし、誰も居ないことをいいことに、ピストルごっこをしながら無事に下ることができた。
おもちゃのピストルが、こんなに頼もしく見えるとは、やっぱり飛び道具は頼りになるぜ。
ヘロヘロと家に戻り、夕陽を見ながら今日の無事に感謝だ。

遠野はどこからでもきれいな夕陽が見える
空気がツンと尖っているようだ


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