医師脳(いしあたま)

「人生は一度っきり」と、後先考えずに生きた七十年余。  白い巨塔を離れた頃、国際医療協…

医師脳(いしあたま)

「人生は一度っきり」と、後先考えずに生きた七十年余。  白い巨塔を離れた頃、国際医療協力に取り組んだ頃、両親の介護で老人医療に転身した頃、東日本大震災後の医療支援に飛び込んだ頃、などなど……。  後悔はないが、そのたびにリセットしていたら、今のは何番目の人生になるのだろうか。

マガジン

  • わが短歌を生成AIがたちまちに画像化せり ほとほと感心す

    自作の短歌で、Microsoft Copilot(マイクロソフト コパイロット)に画像化を依頼しました。 https://copilot.microsoft.com/

  • 老風満帆

    医者になって半世紀。  はじめの3分の2は産科医として飛びまわり、そのあとは老人医療 にも携わってきた。 「揺り籠から墓場まで」を実践する人生行路であった、と振りかえれば……。 〇取り上げも看取りも遣りし爺医なれば「命の関守石」とも言ふべし (医師脳)

  • FOR QUEENS

    「人生百年時代」と言われる今、個人差はあるものの「老年期」が人生で最も長いステージになりつつある。  しかし元気な高齢者のなかには、こうおっしゃる女性も多い。 「孫でもないあなたから、『おばあさん』だなんて、呼ばれたくないわ!」  そこで捻りだした言葉が、 『クィーンズ』である。これなら、女王様たちにも文句はあるまい。  看板の「女性老年科」も、こんなふうに言い換えよう。 「クィーンズ・クリニック」と。 〇医療にも多様性を! と唱へれば『クィーンズ・クリニック』こそ新年の夢

  • 狂歌もどき

    短歌(うた)よめば狂歌かと笑はれ為らばとて蜀山人を繙きてをり(医師脳)

  • 一日一首

    〇七十歳の手習ひなるや歌の道つづけてかならず辞世を詠まむ(医師脳) 〇満帆に〈老い風〉うけて「宜候」と老い真盛り活躍盛り 〇うれしきは毎朝いるる珈琲に「おいしいね」と言ひて妻が笑むとき 〇生き甲斐が働き甲斐なる生活に「老い甲斐あり」とふ痩せ我慢もなす 〇「先生」と呼ばれ続けて半世紀いまや符牒のやうなものなり 〇「日々一首」と詠み続けたし一万首。吾も百寿の歌詠みとならむ 〇人生の川にも澪木(みをき)を立つるごと刻舟とならざる一日一首を 〇老いはてて彼も汝も誰か薄れ去りいずれ消ゆらし吾の誰かさへ

最近の記事

健診の米寿の媼に不整脈・血圧二百超!即ER行き

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マガジン

  • わが短歌を生成AIがたちまちに画像化せり ほとほと感心す
    119本
  • 老風満帆
    13本
  • FOR QUEENS
    7本
  • 狂歌もどき
    4本
  • 一日一首
    7本
  • 500字DE生存証明
    25本

記事

    佞武多つれづれ

     我ら津軽衆にとって、夏祭りと言えば佞武多。  武の読み方が、青森と弘前で違う。  ぶ(bu)と読む青森ねぶたに対し、ぷ(pu)と柔らかいのは弘前ねぷた。  青森と弘前では山車の形が違う。  大型の張りぼてを乗せたものは、青森の人形ねぶた。  弘前は、その形から扇ねぷたと言われる。  掛け声も違う。  リズミカルな「ラッセラーラッセラーラッセラッセラッセラー」は青森だ。 「やぁやどぉ」と優雅なのは弘前で、帰りは「ねぇぷたのもんどりこ」とかけ声が変わる。  当然

    五年半「一日一首」と詠み続けやうやう今日で二千首となりぬ

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    鬚(あごひげ)から髭(くちひげ)髯(ほほひげ)白髪(しらが)まで酷暑に向けてバリカン巡る

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    煙の木は漆種なればかぶれぬやう完全防備で剪定をせり

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    「医師募集年齢不問」の八文字にアドレナリン湧く老医の身にさへ

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    歌会『つきかげ』

     斎藤茂吉は1953(昭和28)年に七十歳で亡くなっている。  その最終歌集『つきかげ』からの引用。   暁の薄明に死をおもふことあり除外例なき死といへるもの   茫々としたるこころの中にゐてゆくへも知らぬ遠のこがらし   いつしかも日がしづみゆきうつせみのわれもおのづからきはまるらしも  〈老い〉の歌であり、医師としての歌でもある。  その一方では…。   欠伸すれば傍らにゐる孫真似す欠伸といふは善なりや悪か   税務署へ届けに行かむ道すがら馬に逢ひたりあゝ

    歌会『つきかげ』

    梅雨空に「実割れするなよ」と声をかけ鈴なりのトマトの色づきを待つ

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    老いたれど医師募集欄を渉猟す。南の島とか温泉地とか

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    意に反し妻を看取らば家を出で南の島の医者にて果てむ

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    「医師脳の短歌狂騒曲:診察室から詠む人生の詩」

     医者とは、ある意味で客商売かもしれぬ。  そのうえ、看護師や事務スタッフへの気遣いも欠かせない。 「こう言われたら、相手はどう感じるだろう?」と、常に考えて行動しているつもりだ。  だが、生身の人間である。  イライラが高じて、腹立ちまぎれに発した一言がもとで大騒動となり、その解決に大変なエネルギーを要した経験はないだろうか。最初に受けたストレスは、何倍にも膨れ上がって……。  『徒然草』の第十九段に、吉田兼好もこう記している。 「おぼしきこと言わぬは腹膨るるわざなれば

    「医師脳の短歌狂騒曲:診察室から詠む人生の詩」

    ハラペノとふ激辛トウガラシの系なれど辛味なく名も「子どもピーマン」

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    テグス張り鳥から守りしブルーベリー。初収穫の五個を妻と分けあふ

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