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桜の季節20

  前回の桜の季節はこちら。


  うろたえる2人の前に足音の主が現れる。

「おじいちゃん!」

  足音の主は一雄だった。怪しい2人に気づいた一雄は問いかけた。

「おじさん達誰?」

「お!おじさんだと!」

  見つかった事よりも、おじさんと言われた事にショックを受ける東。彼はまだ28歳であった。そんな事とは露知らず一雄は2人に。

「分かった!あなた達が桜の精さんですね!」

  一雄はこの2人を庄之助の話していた桜の精と勘違いした。

「はぁ?なに言ってんだこいつ、泣かしたろか。」

  一雄に近づく山路を東が制止する。

「おい!いいから話を合わせとけ!」

「え?何でですか?」

  2人は一雄に背中を向けコソコソ話し始めた。

「あいつは多分この家のジジイの孫だ。」

「へい。」

「あいつを使って身代金巻き上げるってのはどうだ?」

「それって、誘拐ですか!」

「バカ、声がでかい!」

  山路の頭を叩く東。

「いて!すいません。」

「空き巣なんかよりも金になるぞ。」

「流石!兄貴!」

  一雄の前へ戻る2人。そして山路が。

「そうです~。私が桜の精で~す。」

「わーい!僕にも見えたんだ!初めまして僕は山本一雄です。」

「はいはい、初めまして。俺は山路……、痛い!」

  また頭を叩かれる山路。

「じゃなくて桜の精です。」

「わーい!よろしくお願いします!」

  山路は東に耳打ちをした。

「ところで兄貴、桜の精ってなんですか?」

「知るか!」

  一雄が何かに気づいた。

「あれ~?!」

  山路は焦った。

「え?ど、どうしたんだい?」

「桜が枯れちゃってる!」

「みたいだね。」

「桜の精さんは大丈夫なんですか?」

「はぁ?いや、何がだい?」

「だって、桜が……。」

  東が横から。

「大丈夫だよ、俺らがここにいるから枯れてるんだ、戻れば元に戻るよ。」

「そうなんだ、良かった。」

  一雄は東の言葉を信じた。

つづく

『奇跡の在り方』もよろしくお願いします。









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