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桜の季節8

前回の桜の季節はこちらから。

「キミは?」

  スレイブは急に現れた白い着物姿の人物に問いかけた。

「ふふ、初めまして。」

「私の姿が見えるのですか?」

「はい、もちろんです。」

  スレイブは驚いた、死神は死期の近ずいた者にしか姿が見えないのである。稀に霊感等の力が強いと言われる人間に見られる事はあるが、今回はどう理解すればいいのか。

「貴方は、庄之助さんの言っていた桜の精ですか?」

「ええ。」

  スレイブは初めまして遭遇する植物の精霊と言う存在に戸惑っていた。桜の精は凛とした姿で微笑みかけている。スレイブは戸惑いながらも問いかけた。

「私に何か用ですか?」

  桜の精はバツが悪そうに答えようとした。

「ええ、実は……。」

  スレイブは答えを遮るように。

「庄之助さんを殺さないで欲しいとでも?」

「それは……。」

「勘違いしないでください。私は庄之助を殺害に来たわけではないですから。ただ迎えに来ただけなのですから。」

「どうにもなりませんか?」

「これは天命ですから、私にはどうにも。」

「1週間!いえ、2、3日だけでも構いません。」

  スレイブは首を横に振りながら。

「私はお二人の関係をよく知りませんが、何故そこまで庄之助の事を?貴方にとってはただの人間でしょう?」

  桜の精は俯き目を瞑り、再び見開きスレイブを見た。

「庄ちゃんは私の恩人なんですよ。」

「恩人?」

「ええ。」

  そう答えると桜の精は語り始めた。

つづく


【イラスト引用先】 Photo by LR-garally

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