毒を含む植物

リスクを避ける為の社会的学習

幼児は未知の植物を避ける
ある植物が危険かどうかは他者から学ぶ

我々ヒトが社会的な動物であり、他者に同調することは周知の事実だと思われます。

職場での服装や新しい環境での振る舞いの仕方などは他者を真似ることも多いのではないでしょうか?

そもそも、なぜ私たちは他者を真似るのでしょうか?

何かを学ぶ「学習」の中でも、失敗を繰り返しながら成功にたどり着く学習方法を「試行錯誤学習」、他者から学習する方法を「社会的学習」と言います。

試行錯誤学習はもちろんですが、なぜ私たちは社会的学習を用いるのでしょうか?

それは、社会的学習が1人だけでは獲得できない知識を他者から得られるからです。

例えば、植物について考えてみましょう。

研究から、幼児は未知の植物を避けることが分かっています。

これは、幼児が毒を持つ植物を警戒しているからだと考えられています。

ある植物に毒が含まれているかを考える時、食べてみて毒があるかないかを判断している(試行錯誤学習)と、いつかは毒で死んでしまいます。

そこで社会的学習が登場するわけです。

毒があるかないかを確かめる(試行錯誤学習)最初の1人目はとても大きなリスク(死)を抱えるわけですが、その他の仲間は試行錯誤をした人から学べばリスクが一気に減るわけです。

コスト(死の危険)を払わずに大きなリターン(試行錯誤では得られない知識)を得るというのに適した学習方法が社会的学習ということでしょう。

参考文献:

Elsner, C., & Wertz, A. E. (2019). The seeds of social learning: Infants exhibit more social looking for plants than other object types. Cognition, 183, 244–255. https://doi.org/10.1016/j.cognition.2018.09.016

Oña, L., Oña, L. S., & Wertz, A. E. (2019). The evolution of plant social learning through error minimization. Evolution and Human Behavior, 40(5), 447-456. doi:10.1016/j.evolhumbehav.2019.05.009