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保守オンラインサロンに竪琴を奏でます

アメリカ大統領選の結果を受けて保守論陣が先の大戦における「勝ち組・負け組」化していてなんともはや。そろそろ武装解除した方がよろしいかと。

肩にオウムをのっけてSNSという密林を彷徨っている感すらあります。「おーい〇〇、現実に戻ってこい」と誰か言ってあげたらいいのに。信者さんが次々にカンフル剤を注入するものだから撤退できないのかもしれません。

こういう動きに連動して保守系オンラインサロンも活況の模様。信者の囲い込みビジネスというものです。

オンラインサロンで学んだり交流するということ自体は悪いことではありません。ただ信者と書いて「儲」と書く。何が言いたいかこの一字が物語っています。

オンラインサロンは一概に左翼・右翼とカテゴライズできませんが、どちらかと言えば保守層と親和性があるように思えます。

保守層がオンラインサロンに向かうというのは保守―リベラルの活動における本質的な「差」があると考えます。

日本左翼運動の本質は「居場所を勝ち取る」

左翼のオンラインサロンというのはあまり聞いたことがありません。どちらかと言えば保守論陣のイメージです。なぜでしょう。簡単です。必要がないから。

http://www.labornetjp.org/EventItem

レイバーネットのカレンダーを見てみましょう。このコロナ禍においても活発。最近の傾向としては感染症対策の観点からリモート集会が増えています。信じられないでしょうが、今年3~4月期には集会でマスクやのど飴を配布する団体もありました。あの時分はマスク不足なのに感心したものです。

コロナ以前は労働組合関係施設、政党の会議室、衆参議員会館、市民会館、あるいは市民団体が有するスペースで何らかの催しがありました。開催回数において圧倒的に左派集会の方が多いでしょう。

衆参議員会館は議員さんが会議室を確保します。野党の議員は政治家と活動家のボーダー上の人もおり、まあ言うならば市民団体の一員。経験上、保守派の議員が部屋を取るというのはそれほどありません。

やはり民主系、共産系問わず支持基盤の労組があるのは強い。市役所内の職員労組のスペースも使用することができます。もちろん「平和、人権、環境」こういった活動が前提。まさか「親トランプ集会」「バイデン抗議集会」なんてものが行われるはずもありません。

それから自治体が主催する市民集会でも講師として登場するのはおおかた左派文化人か解放同盟推奨の識者。「反ヘイトスピーチ」「同和問題」が中心でいつもの人がいつも通りの話をします。この場合、自治体は一種のみかじめ料というもので

「お願いします。私たちは差別してません。お願いします。講演会もお任せします。命は、命だけは。お助けを」

ってなもんです。

繰り返しますが「許すな中国、守れ尖閣」などがテーマになることは絶対にありえません。

お判りでしょうか。左翼や市民活動家、左派ジャーナリストたちはあえてオンラインサロンという面倒なものを作る必要はないのです。リアルな場で彼らの自尊心やアイデンティティを満たす空間は用意されています。

これは長年、左翼団体、労組、人権団体が勝ち取ってきた成果でありましょう。市民センターを我が物顔で利用する活動家は少なくありませんが、これも「勝ち取った成果」です。この点、保守/リベラル、右派./左派の運動史における根本的な違い、あるいは主張の性質の違いとしか言いようがありません。

オンラインサロンは檀家制度

右派は現実的な場所が乏しい。日常生活、一般社会を鑑みてください。

「許すな朝鮮学校」と「許すな安倍」

とどっちが言いやすいですか。例えばアナタのお勤め先で前者を口にしたら。場合によっては結構えらいことになると思います。あるいはこれが「同和」だったらまずハロワ行き。

右派の主張は現実世界で口に出しにくいのです。これは「隠れトランプ」と同じ現象だと思います。だからどうしても主張は「ネット」にならざるをえません。

しかし悪い事ばかりではありません。朝日新聞や旧社会党の問題などネットの登場以来、様々な人がネットにあげプレッシャーになってきました。特に朝日のKYサンゴなどどれだけネットで蒸し返されてきたことか。これは有志らの努力で様々な情報がネットに掲載されました。

いわゆる保守論者という人もネット情報の恩恵を受けています。しかしオンラインサロンは逆行します。新事実を炙り出すという作業よりも、著名人がネットのまとめで一席ぶっては信者たちが「そうだー」と気勢を挙げる。せいぜいこんなところではないでしょうか。

ネット黎明期においては全く市井のユーザーがめいめいに情報を持ち寄りネット言論空間が醸成されてきました。これに対してマスコミ、左派知識人は「ネトウヨ」などと批判を加えますが、当たり前です。自分たちに不都合な情報だから。何よりのダメージでした。

しかしオンラインサロンは和尚さん(保守スター)と信者(檀家)といったもの。従来のネット言論とは異なります。

「オラの村の和尚さんがいいお話をしなすったぁ」「オラとこの和尚さんも言うてなさった」

ツイッターやFBを見ているとこんな感じではない?

たまにオッサマ同士が仲が悪くて、「あっちの糞和尚が悪口を言っていたぞ」という体で対立が始まります。めいめいが鍬やカマをもって「オラの村の水をとったのオメエらか」みたいな争いが日々、SNS上で勃発。

生産性もなければ、学習もない。しかしここの檀家さんたちは意外と飽きっぽいから新しい和尚がやってくるとそちらに移る。こんなところでしょう。

で、また新しい和尚と檀家ができる。こういう性質上、親トランプだ、反バイデンだという単純明快な権力闘争は非常に囲い込みがしやすいのです。

私は保守論壇なるものに属していないし、むしろ距離を置きたいくらいです。しかしもし保守言論の向上を望むならば断言します! オンラインサロンは何ら貢献しないし、また集まる人にとっても「有名なあのお方とちょっとお近づきになれた」程度。小腹にスニッカーズ半分食べたほどの充足感でしょう。

それでもよろしければやっぱり肩にオウムをのっけて「言論モドキ」の密林を彷徨うしかないですね。



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