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【読書レビュー】なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか 渡瀬裕哉

今回は、中学生の時に学校で読書感想文を書いて以来になりますが、自分の読書経験を共有しようと思い立ちました。約30年ぶりのチャレンジ。

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最近、別の機会に筆者である渡瀬裕哉氏の記事や講演をウェブ視聴し、政治については素人ながらも、今回の著書を手に取りました。本の表題だけを見ても、正直何が書かれているのか予想すら出来ないところから、読み始めました。

2016年の米国大統領選挙の結果予想でトランプ勝利を的中させる程、米国政治に精通した筆者が、「アイディンティティ」を切り口に民主主義について、グローバルな視点で持論を語るという内容です。あくまで脳で理論的に理解した内容についての感想としては、素人の自分が民主主義、選挙について概要を短い時間で把握できた上、今後どのように政治に接して行けば良いのかを考える視点の持ち方を学べました。

改めてですが、30年ぶりに44歳で読書レビューを書こうと思い立ち、何故この著書を自分は取り上げたのか?当然、人に勧めたいという自分の意思があります。政治の素人が読んでも楽しめる、かつ政治に更に興味を持てる。この感覚の共有だけが動機では無かったと改めて感じます。頭で理解した内容も大きいのですが、それによって感じるもの、湧き上がるイメージがありました。

アイディンティティの分断とは、政治機関やメディアが有権者に対して、「富裕層/低所得層」などの画一的で単純な受け入れ易いアイディンティティを作り上げることで、それを受け入れた人に対しては、効果的に政治的なメッセージを伝えられるという政治手法と説明されています。それに対して、これからの個人、有権者は、人に押しつけられたアイディンティティでは無く、自分でそれを発見していくことで、自分の人生が豊かになり、さらにそこから他人任せでは無く、主体的な人間性を獲得出来る。更に、それが政府による問題解決への期待や指導者に頼り続ける姿勢を改めることにつながり、政治参加者、政治自体が自由意志で、対立点には注目せずに、合意出来る部分を見つけ合い、前向きな方向に一緒に進んでいくというメッセージがありました。

筆者が発信した情報、ロジックそのものよりも、そこから感じられる理想の社会が、自分が人と共有したい、レビューを書きたい動機になったと思います。

自分の中にあるもの(アイディンティティ)を自分で理解し、自分と統合しながら、それによって繋がることが出来る人、物、コミュニティと一緒に進む、それがより一層のエネルギーの循環に繋がっていく。そのようなイメージを受け取りました。

私は44歳のオジサンですが、正に今まで自分のアイディンティティは、人から与えられていたと実感しました。この著書のお陰で、何故自分がそうなっていたのか振り返り、これからどう在るべきか思い直す機会を得ました。会社員人生20年経過のオジサンにエネルギーを与えてくれる政治の本に出会えた喜びを感じました。

コロナ禍で悩み事の多いオジサン達にも、勇気を貰えてくれる貴重な1冊では無いかと思います。

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