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新しい恋をした

初恋について書いたことがある。
"うずくまったまま動けない"を書いた去年の冬も彼のことを思い出さない日など一日もなかった。
毎日苦しかった。たくさん、本当にたくさん泣いた。

そんな初恋に5年ほど囚われていた私が恋をした。新しい恋をした。

長い間友達として過ごしてきた人が恋人になった。正直今でもまだ実感が湧かない。
私達は友達としてたくさん会っていたし、色々な話もしてきた。
私は彼を異性としてみたことはなかったが、一人の人間として好きだったし、
友達としても大事な人だった。

そんな彼から突然告白された。
あまりに突然のことで訳が分からず頭の中がパニックだった。
理解するのに時間が必要だった。

お互い小学生から知っていて、もちろん恋愛事情も全て知っていた。
時には相談もしていたし、相談に乗ることもあった。
彼はとても穏やかな人で優しい。
誰かと喧嘩しているところも見たことがないし、怒っているところも見たことがない。
本当に器が広い、優しい人。
ふざけている割には周りのことをよく見ている。

いつかの飲み会での出来事をよく覚えている。

大勢の会話に入れず、大人しくしている子がいれば積極的に声をかけ、ふざけて笑顔にさせる。
隣の子と少し気まずくて上手く話せないでいると
「こことそこ席交換しようよ!せっかくだし!」
「久しぶりに○○と話したかったんだよね!」
「△△が君と話したかったらしいよ」
とどれだけ遠いテーブルにいても空気を読んで上手く人と人を繋げてくれる。
お酒に弱い私を心配していつもお水を頼んでくれる。
タバコが苦手なことを知っていて喫煙者のいない席にしてくれる。
今まで何度も彼の気遣いに救われてきた。
苦手な飲みの場も彼がいると知れば安心して行くことができた。
自分が主催したわけでもないのに、
"誰一人嫌な思いをせず、来て良かったと思って欲しい"
と考えている彼のことを心から尊敬している。

でも本当はかなり無理をして頑張っていることも知ってる。
周りに気を遣ってばかりで自分はあまり楽しめていないことも知ってる。
きっと家に帰ったらため息をついてベッドに倒れ込んでいるだろうことも知ってる。

失敗してもそれを失敗だと思わず、引きずらずにポジティブに捉えるのもすごい。
私とは性格が真反対。それなのに居心地がいい。空気感がいい。
それはきっと人を否定しないから。
意見が違うことを楽しんでいて、そういう考え方もあるのかと受け入れることができる。

居心地が良くて気があう。
取り繕う必要がない。
自然体でいられる。
これを言ったらどうなるかと心配せずに思ったことを口に出せる。
ちゃんと受け止めてくれる。
ダメなところも笑ってくれる。
彼と一緒にいる時の自分が好きだと思える。
それってとてもすごいことだと思う。

返信が返ってこないとか、駆け引きとか
SNSを覗きに行って一喜一憂したりだとか
浮気の心配とか、周囲の友達関係とか
どこで何をしているのかなんて
そんなのどうでもいいと思える。
そんなレベルは遥かに超えている。
異性だとか友達だとか恋人だとかそんな枠ではなくて、一人の人間として信頼しているからこそだと思う。

はじまりはおわりのはじまり

花束みたいな恋をした

今までずっと始めることがとても怖かった。
いつか終わってしまうなら最初から始めなければ傷つくこともないし平和でいられると思っていた。
誰かを好きになる気持ちをセーブして生きてきたからもう誰に対しても心が動かなくなってしまったと思っていた。
もう一生次の恋にはいけないんだと本気で思っていた。
でもそんな気持ちも今はない。
別れてもいいと思える。
裏切られてもいいと思える。
こんな気持ちになるなんて思ってもなかった。

出会いは別れを内在し、恋愛はパーティーのようにいつか終わる。だから恋する者たちは好きなものを持ち寄ってテーブルを挟み、お喋りをし、その切なさを楽しむしかないのだ。

花束みたいな恋をした

いつか別れは来るものだと覚悟している。
その日が来るまで私たちは一緒に好きなものを持ち寄ってテーブルを囲む。
少しでも長く続けばいいなとは思うけれど終わりの日まで楽しく過ごしたい。

ずっと苦しかった、忘れられなかった去年までの自分に言ってあげたい。
あなたのすぐそばに素敵な人がいるよって。
凍えてうずくまっていた私を救い出してくれた。
長い冬を越えて私にも春がきた。
私の心にやっと桜が咲いた。

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