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3/24 ニュースなスペイン語 Semana Santa:聖週間

4日後に「聖週間(Semana Santa)」を控え、スペインではちょっとおかしなことになっている。

今年の聖週間は28日から来月3日までの1週間で、例年、各地で祭りや式典が催され、国内で大移動が見られる。しかし、今年はコロナ禍の影響で、居住している自治州から出ることができない(=「自治州周辺閉鎖(el cierre perimetral)」)。

しかし、だ。

実は、フランスやドイツからの旅行者はスペインに来ることができるし、スペイン人も、例えば、マドリードからパリに出国することはできるのである(しかし、フランスに入国できたからといって、パリから出られるかというと、その保証はない)。これは、EU加盟国間で締結されている「シェンゲン協定(Tratado Schengen)」が、こうした国境を越える移動(viajes transfronterizos)を基本的な権利(derecho fundamental)として認めているからである。そのため、厚生大臣(Ministra de Sanidad)のカロリナ・ダリアス(Carolina Darias)も、せいぜい「旅行をしないことが推奨される(la recomendación es que no se realicen viajes)」と述べるのがやっとだ

もちろん、無条件に国境を越えられるわけではなく、出入国時にPCR検査が陰性であること(prueba PCR negativa)など、各国が定める規制に従わなければならない。

こうした状況に対して、欧州委員会(Comisión Europea)は22日、スペインに対して「一貫性のある対応(coherencia)」を求めた。当然、同様の批判は、国内の各党からも起こっている。このような、アベコベな現状を、スペイン語では「カフカ的不条理の状況(una situación kafkiana)」とも表現する。

ちなみに、冒頭で触れた自治州周辺閉鎖に、唯一、マドリード州は参加していない。つまり、マドリード州に居住する人は、自由に州を出入りすることができるのである。こうした、マドリード州の対応に対して、カンタブリア州知事ミゲル・アンヘル・レビージャ(Miguel Ángel Revilla)は「マドリードは15日か20日もすれば、クラスター爆弾となるだろう(Madrid va a ser una bomba dentro de 15 o 20 días)」と発言した(と言うよりも、実際は、発言したところを隠し取りされていたらしい)。当然、マドリード州知事イサベル・ディアス・アジューソ(Isabel Díaz Ayuso)が黙っているはずもなく、「今度はレビージャさん、ウイルス学者になられたようで(Ahora parece que Revilla es virólogo)」と皮肉った。「今度は」と言ったのには理由がある。実は、レビージャは、昨年4月、マスクを配布して、一躍有名になった人物なのだ。ところが、このマスクが粗末な作りでバルの紙ナプキン(servilleta=発音は「セルビジェータ」)並みのクオリティーだったため、自身の苗字から「レビジェータ」などと揶揄された。アジューソは「あの有名なレビジェータを市民に配布されてた時は、衛生学がご専門のようでしたが(experto en Sanidad....darle las 'revilletas' famosas a los ciudadanos)」と付け加えた。

久々にアベノマスクを思い出した。

写真はNoticias紙(2020.4.14.)より。自身の配布した(粗末な)マスク「レビジェータ」を着けたレビージャ。