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3/29 ニュースなスペイン語 Gibraltar:ジブラルタル

ジブラルタルはイベリア半島の南部に突き出た都市。日本でも知られている、ヨーロッパとアフリカの両大陸を分かつ「ジブラルタル海峡(Estrecho de Gibraltar)」がある地だ。

スペイン語では「ヒブラルタール」に近い発音。

いろいろスッタモンダな歴史があって、現在は、イギリス領である。昨年末のイギリスのEU脱退の時、ジブラルタルの脱退後の位置づけをめぐり、最後の最後まで交渉がもつれた。しかし、スペインの外務大臣(Ministra de Relaciones Exteriores)アランチャ・ゴンサレス・ラジャ(Arancha González Laya)の粘り強い交渉の結果、シェンゲン協定に基づき、「窮屈な国境(frontera dura)」を回避し、脱退前と変わらない、自由な交通を確保することができた。

そのジブラルタルで、同地に勤務しているスペイン人を含め、80%の住民のワクチン接種が完了したと報道が28日あった。

しかも、夜間外出禁止令(toque de queda)も解除され、屋外では、マスクを着用しなくてもよい。さらに、時短営業要請も解除され、午前2時までの営業が可能になる。中には、まだ怖いから、と言ってマスクを付ける市民もいるようだが、テレビではマスク着用を呼び掛ける標識が撤去される映像が流れていた。なお、室内では依然としてマスク着用が義務付けられている。

同じイベリア半島にありながら、そして目と鼻の先の距離にありながら、スペイン領下とイギリス領下のそれぞれの地で、コロナ対策がまるで違う。例えば、スペインは夏までに国民の70%にワクチン接種を目指すと表明しているが、イギリスは100%を表明し、着々と目標に近づいている。EU加盟国としてのしがらみがない分、ワクチンを提供する製薬会社と比較的自由に折衝ができるためか、イギリスではすでに3000万人ほどの国民がワクチンを接種した。

スペインは現時間の28日現在、250万5842人がワクチンを接種した。これは、およそ国民全体の5.3%に当たる数字だ。 まだ、日本時間29日の段階でワクチン接種の「ワ」の字も始まっていない日本からすれば、スペインも十分にうらやましいが、ジブラルタルと国境を接しているカディスの住民は、うらめしい気持ちで、英国領を見ているに違いない。

写真はジブラルタル。都市の大半を占めるのがジブラルタルのシンボル「ジブラルタルの岩(Peñón)」。「ヘラクレスの柱(Columnas de Hércules)」とも呼ばれている。