見出し画像

7/31 ニュースなスペイン語 Votos extranjeros(2):在外票(2)

26日の小欄でも紹介した在外票の集計(recuento)が土曜日に終わり、国政に大きな動きが出そうだ。

おさらいしておくと、在外票とはスペイン国外に在住するスペイン人たちが投じる票のことで、今回の総選挙では、232万8261票(票全体で占める割合は6.2%)あった。正式名称は「不在選挙人名簿票(voto Censo Electoral de los Residentes Ausentes;voto CERA)」〜で、同じ意味だが「votos exteriores」という表現もある――。

ざっとこんなところか。

そして、在外票の集計の結果、スペイン社会労働党(PSOE)がマドリードで唯一持っていた1議席(escaño)が国民党(PP)に移るという事態が発生した。

えらいこっちゃ、えらいこっちゃ。

言うまでもないが、国会(Congreso)、正確には、下院(Congreso de Diputados)での議席数は、首相選での票に直結する。

だから、マドリードのこの1議席が動くことで、今度は、首相の座(investidura)を巡る、社会労働党(≒左派連合)と国民党(≒右派連合)の争いの風向きが変わりそう。

在外票集計前には国民党は136議席、社会労働党は122議席を国会(Congreso)で持っていたが、集計後には、それぞれ137議席・121議席となる。

これがどの様な結果を生むかと言うと、国民党を中心とする右派連合(bloque de la drecha)は

右派連合(172議席)=国民党(137議席)+ボックス(Vox:同33)+ナバーラ住民連合(UPN:同1)+カナリア同盟(CC:同1)

という議席(つまり、首相選での賛成票)を得ることになるのに対して、社会労働党を中心とする左派連合(bloque de la izquierda)は

左派連合(171議席)=スペイン社会労働党(121議席)+スマール(Sumar:同31)+カタルーニャ共和主義左翼(ERC:同7)+ビルドゥ(Bildu:同6)+バスク民族主義党(PNV:同5)+ガリシア民族主義ブロック(BNG:同1)

となり、右派連合にわずか1議席足りないのだ。

首相選は過半数(mayoría absoluta)である176議席(票)を得た党の候補者が勝利する仕組みだが、今回の総選挙では、どの党も過半数には単独では届かない。

そこで再投票が行われる算段だが、2回目は賛成票が反対票を上回れば良いという、多数決(mayoría simple)に変わる。

そのため、各連合は相手より1票でも多く賛成票を取り付けるために、あちらこちらを奔走中。

ただし、27日の小欄でも触れたが、右派連合では不協和音も聞こえるらしいので、上の票の足し算が上手くいくとは限らない。

左派連合もカタルーニャのジュンツ党(Junts)の明確な支持(apoyo explícito)である7議席(票)が欲しいところだが、交渉の先行きは不透明。

写真はサンチェス(左)とフェイホ。首相の座に就くのはどちらか。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230729/elecciones-generales-pp-arrebata-escano-psoe-madrid-voto-cera/2453049.shtml