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12/1 ニュースなスペイン語 Gran apagón:大規模停電

apagónは「停電」のこと。gran「大きい」などという形容詞が付いているのも、また、不気味だ。「停電」は「corte de luz」とも言う。

先月あたりから、世界規模(mundial)の停電についての、根も葉もないうわさが、ネットなどに急速に出回り始めた。

このうわさ話のきっかけを作ったのが、オーストリア国防大臣、クラウディア・ターナー(Klaudia Tanner)だ。曰く、

大規模停電が起こるか否かが問題なのではない。問題はいつ起こるかだ(La cuestión no es si habrá o no un gran apagón, la cuestión es cuándo sucederá)

そうだ。まったく罪な発言だ。ただでさえ、コロナで疲労困ぱいなのに、今度は大規模停電の話。

この大規模停電は、(もし起こることがあれば)長期間続く(larga duración)という。スペイン政府は「電力の供給は保証されている(el suministro de electricidad está garantizado)」、スペインの電力供給システムは「大変パワーがある(muy potente)」などと述べ、火消しに躍起になっている。

スペイン政府を含め、いろいろな国の政府までも本気にさせた理由がいくつかある。

まず、「今回の大規模停電を予測したオーストリアの人工知能システムは、2017年にコロナウィルスの大流行をすでに言い当てていた(El sistema de inteligencia artificial austriaco que predice este blackout en Europa ya anticipó la pandemia de coronavirus en el año 2017)」という点だ。このAIは実績があるのだ。

もうひとつ、実は、今年の1月8日にクロアチアの変電所でトラブルが発生し、ヨーロッパ全体で、大規模停電が起こる寸前だった(El 8 de enero de 2021 estuvo a punto de haber un gran apagón en Europa, una subestación en Croacia tuvo problemas)という。なるほど、類似の事故が起きていたのか。

そして、大規模停電は5年以内に起きるとも言われている。その根拠が、いわゆる「太陽嵐(tormenta solar)」。つまり、向こう5年間(2022年~2026年)に、太陽の活動がマックスになる時期に入る(en este período de tiempo, entre 2022 y 2026, el Sol atravesará un período de máxima actividad)という。この時、電磁波などの影響から、電気製品に何らかの悪影響を与えるらしい。とは言え、これは数百万年からずっと周期的に起こっている現象(como viene ocurriendo de forma cíclica desde hace millones de años)であるため、幾分かの経験の蓄積があるとも言える。

スイス政府は「電気のない世界は、コロナよりはるかに悪い結果をもたらすことになるだろう(Un mundo sin electricidad podría tener consecuencias mucho peores que la pandemia)」と述べている。一方、スペインの専門家は「客観的な証拠は何もない(No existe ningún indicio objetivo)」とうわさを一蹴する。

日本ではあまりこのうわさについて議論されていない。まぁ、根拠のないうわさに振り回される必要はないが、全く知りませんでした、何の対策も取っていません、備蓄は何らしていません、も困る。

写真は2019年のマンハッタンの大停電の時の様子。