12/24 ニュースなラテン語 Mare Nostrum：我らの海
カタルーニャ州バルセロナに設置されているスーパーコンピュータ（superordenador）の名称で、正確にはMareとNostrumの間にはスペースを入れずに「MareNostrum」と綴る。
2004年にスーパーコンピュータの開発が始まって以来、バージョンアップを重ね、昨日、最新版のMareNostrum 5がお披露目したというお話し。
気になる性能（capacidad）だが、314ペタフロップス（petaflops）だそうだ。
？？？
な、何、それ……。
グーグルさんによると、１ペタフロップは１秒間に1000兆回の難しい計算（正確には「浮動小数点演算」）をこなせる能力らしい。
ということは、MareNostrum 5は、その314倍なので、１秒間に314,000, 000,000,000,000回（314.000 billones）の・・・・（やや気が遠くなっている）
もう少し分かりやすい例が記事に載っている。
中高スケールパソコン（gama media-alta（普通のパソコンよりちょっと良いスペック））なら45年かかる（llevaría）計算をわずか１時間で終わらせられるらしい（実感は全然湧かないが、すごいことなんだろうと自分を納得させておく）。
MareNostrum 5は、その大きさが800平方メートル（800 metros cuadrados）に及び、６メートルを超えるパーテーション（pared）に囲まれているという。
また、電気系統（electricidad）や冷却装置（refrigeración）、火災の感知と消火のシステム（sistema de detección y extinción de incendios）などのケーブルが、１メートル20センチの束となって二重底の床（falso suelo）に収納されているというのだから、まぁ、何から何まで、とにかく想像を絶する程デカい。
MareNostrum 5はフィンランドの「ルミ（Lumi）」、イタリアの「レオナルド（Leonardo）」といったスーパーコンピュータと並び、欧州でも指折りの性能を持つ「プレ・エクサ級（pre-exaescala）」と評されている。
ちなみに「プレ・エクサ級」というのは、冒頭で出てきた、ペタフロップで換算すると「200以上（de 200 petaflops o superiores）」らしい。
これ程の高性能なコンピュータの使い道だが、ひとつは「気候変動（cambio climático）」にまつわる様々なシミュレーション（simulación）が可能になり、予測がこれまで以上に、格段に正確に、そして、信頼のおけるものになる（las predicciones sean mucho más precisas y fiables）という。
気候変動がらみで、現在、EUは「デスティネーション・アース（Destination Earth）」というプロジェクトに取り組んでいて、地球そっくりのバーチャル模型を開発している（desarrollar una réplica virtual completa del planeta Tierra）。MareNostrum 5によって、スペインは重要な役割（un papel clave）担うことになりそうだ。
他にも、人工知能（inteligencia artificial）、新薬の開発（el diseño de nuevos fármacos）、ウィルス伝播のシミュレーション（simulaciones de propagación de virus）、また、 材料工学（ciencia de materiales）やエンジニアリング（ingeniería）となどの分野での活用が見込まれている。
MareNostrum 5は「欧州高性能コンピューティング共同事業（EuroHPC Joint Undertaking）」の中で開発されたものなので、いわば、EU全体の共有物。そのため、その使用はスペインが独り占めすることはできないらしい。
MareNostrum 5の使用容量の内、50％はスペイン、ポルトガル、トルコの三ヶ国が独占できるみたいだが、残り半分のメモリーは、欧州の研究者らが優先性（priorización）や重要性（importancia）を議論して、順位を付けるコンペ（convocatorias competitivas）を勝ち残ってきたプロジェクトが使用できるらしい。
いやはや、すごいコンピュータがあるものだと感心していたら、我が国の理化学研究所が開発したスーパーコンピュータ「富岳」は、な、な、なんと415.5ペタフロップスというのだから、さらにびっくり。
写真はMareNostrum 5の一部。
16日の小欄で、ペドロ・サンチェス（Pedro Sánchez）がバルセロナでペラ・アラゴネス（Pere Aragonès）と会う予定があると言ったと紹介したが、このスーパーコンピュータのお披露目会だったみたい。