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3/31 ニュースなスペイン語 Sin orden judicial:捜査令状なしに

一部のマスコミが取り上げている動画が論争(polémica)を呼んでいる:https://youtu.be/-1i-kJKmLps

今月21日、マドリード市のサラマンカ地区(Salamanca)のある住宅で、夜12時過ぎまで、パーティーが繰り広げられていた。パーティーにはアラビア国籍の人を含む14名が参加していたようだ。

近隣住民から違法パーティー(fiesta ilegal)をしているらしいとの通報を受けた警察(Policía Nacional)が家主である女性にドアを開けるように言う。女性は毅然と拒み、捜査令状(orden judicial)の提示を求めるが、警察はこれを持っていないという。女性はビデオを回していることを告げ、警察官の氏名や警察車両の番号などを尋ねる。女性と警察官との攻防の末、3:08ぐらいから突然、ドスッ、ドスッという鈍く低い音がドアに響く。どうやら、「破城槌(ariete)」を使って、ドアを打ち破ろうとしているらしい。結局、数十秒後、頑丈なドアは警察官たちによって突破されてしまった。

少なくとも動画に映る女性はマスクはしていないし、室内に14人もの人が集まること自体、今のスペインでは違法とみなされても仕方がない。が、問題は、警察官たちが捜査令状なしで強制侵入した上に、9人を逮捕したことで、この行為に対して、批判が集まっている。

裁判所は、女性は「ドアの外にいる公務員が警察官であることを認識していた(sabía que y conocía que los funcionarios que se identificaban como policía)」と認定した上で、「警察官が住居に来たことが、法律によって禁じられた集会によることを認識していた(También sabía y conocía que su presentación en el domicilio (…) fue derivada de la existencia de una reunión prohibida por ley)」とし、警察官の行為を合法(validar)と認めた。

しかし、法律家や弁護士らは、警察官たちのこうした行為は、「住居は不可侵である(el domicilio es inviolable)」ことを定めたスペイン憲法(Constitución)の18条(artículo 18)に抵触するという。同条項には「法的承諾のないいかなる侵入や捜査は認められない。ただし、現行犯はこれを例外とする(Ninguna entrada o registro podrá hacerse sin el consentimiento del titular o resolución judicial, salvo en caso de flagrante delito)」という内容が書いてあるらしい。今回のケースでは、「現行犯( flagrante delito)」はなかったと言うのが、専門家たちの見解だ。

警察官たちの行為は合法か違法かー。同様の事件、そして、警察官たちを訴える訴訟が今後、続出するかもしれない。

写真は20minutos紙(3.28)より。写真はやや不鮮明だが、破城槌(ariete)を手に、ドアを破壊した直後の警察官の画像。