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1/19 ニュースなスペイン語 Tropelía:横暴

昨日(そして、一昨日)の続報。

カスティージャ・イ・レオン州で導入予定の反中絶ガイドライン(protocolo antiaborto;~ antiabortista)について、中央政府は15日、このガイドラインの運用を取りやめるよう要請書(requerimiento)を同州に送ったことを昨日の記事で紹介した。

そして、スペイン政府は17日にも、さらに新たな要請書を送付する方針を固めた。現行の中絶法(Ley del aborto)に矛盾するようなガイドラインの始動を全力で阻止する構え。

タイトルにも上げた「横暴」は、当然のことながら、カスティージャ・イ・レオン州の反中絶方針を指しているわけだが、中央政府報道官(portavoz del Gobierno)のイサベル・ロドリゲス(Isabel Rodríguez(写真))は「執行部はこの横暴に対して、必要な手立てをとる(el Ejecutivo hará lo necesario contra esta tropelía)」との姿勢を崩さない。

そして、「女性の権利と自由に関することで、一歩たりとも後退することは許されない(no va a permitir ni un solo retroceso en materia de derechos y libertades de las mujeres)」と語気を強めた。

さらに、カスティージャ・イ・レオン州の知事が国民党所属であることを念頭に、今日までダンマリを決め込んでいる同党党首(líder del PP)アルベルト・ヌニェス・フェイホ(Alberto Núñez Feijóo)を「沈黙の共犯者(silencio cómplice)」と呼び、批判。

また、副知事がボックス党(Vox)であることから、同党には本件に関して自治州での権限を持たない(Vox no tiene competencias en la autonomía para la cuestión)とバッサリ。

報道官ロドリゲスは、とにかく、全部が気にくわない。

さて、カスティージャ・イ・レオン州の知事アルフォンソ・フェルナンデス・マニュエコ(Alfonso Fernández Mañueco)は次のようなツィートをしている。

私はペドロ・サンチェス首相に書簡を出し、中央政府が有りもしないゴタゴタに、類まれな厳しさで抗戦することを決定したのは遺憾だとお伝えするつもりだ(Enviaré una carta a Pedro Sánchez para lamentar que su Gobierno haya decidido combatir con inusitada dureza un conflicto irreal)

むむむ、有りもしないゴタゴタ、ね……。

今回は割愛したが、実は、上のツィートには「架空の問題点(una cuestión ficticia)」という表現も続く。

マニュエコにしてみれば、一連の混乱を無きものにし、幕引きを図りたいところか。

では、副知事フアン・ガルシア・ガジャルド(Juan García-Gallardo)が先週、記者会見で言及した反中絶ガイドラインは、実はマボロシだったのか、とも思いたくもなるが、そうではない。

その証拠にガルシア・ガジャルドの所属政党であるボックス党の報道官は、同州での国民党との共闘を見直す(revisar el acuerdo)と迫っている。

知事は、謂わば、副知事のハシゴを外しにかかっているのだから、今度は、ボックス党が国民党からハシゴを外すぞ、と脅しているということになる。

知事と副知事、国民党とボックス党、自治州と中央政府の各所で勃発した混乱。

とても「有りもしないゴタゴタ」とは言えない。

写真は報道官のイサベル・ロドリゲス。

ガイドラインにおかしなことが無ければ、スペイン人全員が合意内容をわかっているはずだ(Si no hubiera nada raro ya deberíamos conocer el acuerdo todos los españoles)――。

ロドリゲスの言う「おかしなこと」が早く解明するといいのだか。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230117/gobierno-nuevo-requerimiento-junta-castilla-leon-protocolo-antiaborto/2416094.shtml