9/10 ニュースなスペイン語 Toro de la Vega(1):ベガの闘牛(1)
「ベガの闘牛」は毎年9月、バジャドリード県(カスティージャ・イ・レオン州)のトルデシージャス(Tordesillas)で行われる闘牛。1534年から続く「伝統(tradición)」だ。
このベガの闘牛が、開催を週明け13日に控えた9日、急きょ中止(suspención cautelar)が決まった。
Cautelarは、「より大きな混乱を来さないようにするための」というニュアンス。「予防的措置(medida cautelar)」のように使う。
前提として、スペインでは、動物愛護の観点から、闘牛離れが一般化している。
そんな潮流の中で、大きく分けて、闘牛に寛容な自治州と厳しい自治州がある。カスティージャ・イ・レオン州は前者だが、闘牛の存続に向けて、手をこまねいていた訳ではない。
そもそも、ロペの闘牛は「闘牛(toro)」という名称が付いているものの、いわゆる、闘牛士(matador)が出てくる伝統的なスタイルとは異なる。
ウシ(res)を空き地(campo abiero)に放つ(liberar)。ウシは河原の縁(vega)に到達するまでに、死すことなく逃げ切れば勝利。ウシを仕留めれば、ヒトの勝ち。
手に槍を持ちウマに乗ったヒトもいるし、徒歩で手に銛を持っているヒトもいる。総勢50名ほどの腕自慢のヒトが、手に武器に、丸腰の1頭のウシを追う。
まぁ、聞くからに不公平な感じ。
何となく、石器時代の狩猟を思わせる
それはさておき、2016年にカスティージャ・イ・レオン州はベガの闘牛でウシを殺すこと(muerte de reses)を禁止する法令を可決した。
実は、それまでは、ベガの闘牛だけは例外(excepción)となっていて、ウシを屠すことを許可していたのだが、結局、2016年に例外規定を廃止した。
そして、今年、ベガの闘牛は、紆余曲折を経て、中止が決まったわけだが、なかなか、複雑な経緯をたどった。
稿を改めて、中止までの道のりを紹介しよう。
写真は2016年のベガの闘牛の様子。真ん中にたたずむのはこの年の主役、「ペラード(Pelado)」と名付けられた雄牛。5歳で、体重は670キロ。ほぼほぼ、下の軽自動車と同じ重さ。
ちなみに、スペイン語では、闘牛賛成派を 「taurino」、反対派を「antitaurino」という。この taurino(ウシの;ウシに関する) は toro(ウシ)の形容詞の形。栄養ドリンクに「タウリン(taurine)」という成分が入っているが、これと同語源。タウリンは牛の胆汁などに含まれる成分。