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12/28 ニュースなスペイン語 Palabras del año(3):今年のことば(3)

「今年のことば」の第三弾。今回が最後。

9.Macroincendio


「大規模火災」のこと。

スペインで今年最初に発生した森林火災(incendio forestal)は、3月29日の小欄で紹介したものだった。

今年は乾燥と高温で例年より早く森林火災が始まった(los incendios forestales comenzaron temprano a causa del aire seco y exceso de valor)という。

政府発表(9月5日)によると、今年は87の森林火災があり、6万6064ヘクタール(hectárea)が焼失したという。

ちなみに、あの分かりづらい例えを用いるなら、6万6000ヘクタールは、東京ドーム約1万4000個(何となく分かったような気がするが、やはり、実感がわかない)。

この数値は約660平方キロメートルに相当するので、中規模の市(秩父市(同577)や函館市(同677))が(ほぼ)丸ごと焼けた計算。

10.Polarización


特に新しい単語でもなく、「二極化」という意味。

小生はあまり気づかなかったが、改めて検索してみると、スペイン国営放送(RTVE)の記事には「政治の二極化(~ política)」という表現がよく出現した。

他にも「イデオロギーの二極化(~ ideológica)」や「情感の二極化(~afectiva)」といった表現が出てくる。

極右政党(ultraderecha)ボックス(Vox)が右派の国民党(PP)と共闘し、中央政府に圧力をかけるようになってきたのに対して、極左とも言えるポデモス(Podemos)が衰退した1年だった。

また、恩赦(amnistía)をめぐって、国内が二極化したのも、ここ数か月のことだった。

確かに、今年はいろいろな所に二極化が現れた。

11.Seísmo


「地震」という意味。フランス語(séisme)から入ってきた語。元を辿れば、ギリシア語で「揺るがす」を意味する動詞「seíein」から派生している。

一方、同義の「terremoto」は「地面(terre-)」と「動き(-moto)」を意味するラテン語から作られた語。

スペインだけでなく、世界中を震撼させたのが今年の9月8日にモロッコのマラケシュ付近で発生したマグニチュード6.8の地震だった(9月11日の小欄でも取り上げた)。

死者は2000人を超えたという。犠牲者の方たちのご冥福をお祈りします。アーメン。

12.Ultrafalso


日本では「ディープフェイク(deepfake)」という用語で話題になっている。

先月あたり、岸田文雄首相の画像を改ざん(imágenes manipuladas)して、卑猥な表現をしているかのような動画を作ったとして、とあるユーチューバーが逮捕されたが、この時に使用された技術が「ディープフェイク」だった。

これは人工知能(IA)に基づく技術(una técnica basada en la IA)で、動画などを改ざん(し、全くウソの情報を拡散)する行為。

昨年度、見事「今年のことば」に輝いた「人工知能」を使った技術と聞けば、時代の申し子、技術の必然とも言えなくもない。

さてさて、今年のことばを射止めるのはどの単語か。

一応、小生の第1予想は「1.amnistía」であることは述べた(12月25日)が、今回の「15.ultrafalso」も捨てがたいので、第2予想にしておこう。

写真は「ディープフェイク」と検索すると出てくる映像のひとつ。

誰かの顔を誰かが盗んでくる……それとも、誰かが作った顔を誰かが受け取る……――。そんな不気味なイメージか。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20231222/fundu-palabra-ano-2023/2469148.shtml