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4/19 ニュースなスペイン語 España me debe una:スペインは私に借りを作った

来月4日に投開票を控えたマドリード知事選挙の選挙運動が18日、正式に解禁した。各党の候補者たちの約2週間にわたる戦いの火ぶたが切って落とされた。

あちらこちらで舌戦が繰り広げられる。

【第1ラウンド】。イサベル・ディアス・アジューソ(国民党(PP))vs アンヘル・ガビロンド(スペイン社会労働党(PSOE)

【結果】アジューソのことばを上手く捉え、カウンターを打ち込んだガビロンドの勝ち。

現マドリード知事のアジューソは巧みにキャッチフレーズを作る。約1か月前、とある記者会見で「スペインは私に借りを作った(España me debe una)」と述べた。

というのも、この日、ポデモス党(Podemos)の党首であるパブロ・イグレシアスが第二副首相(segundo vicepresidente)の職を辞し、マドリード州知事選に正式にエントリーすることになったからだ。

アジューソによれば、イグレシアスは「独立主義と過激派ETAに近く、マドリードと市民の関心に反することばかりやって来た人物(es una persona afín a independentistas, al entorno de ETA, ha estado actuando siempre contra Madrid y el interés de los ciudadanos)」だから、こんなのが中央政府にいたら、大変なことになる。だから、今回の知事選を断行することを決めた私に借りができたのよ、スペインさんー。と、まぁ、こんなロジックだ。

日本でこんな発言をぶっ放したら、とんでもないことになるが、スペインでは何ともない。

ところが、このアジューソの発言に噛み付いたのが、ガビロンドだ。曰く、「アジューソさん、あなたは我が党に借りがある(Nos debes una)」。

なぜか?

「だって、あなたは、我が党党首のペドロ・サンチェスに言及しなければ、生きていけないでしょう(porque no puedes vivir sin mencionar a Sánchez)」と続ける。

そして、「あなたは自身の過ちすべてをサンチェスのせいにしている。あなたは自身の間違いに目を向けていない。あなたが口にするのはいつも同じ。そう「サンチェス」としか言ってないじゃないか(La señora Ayuso culpa de sus errores a todos, pero tú no ves los tuyos. Solo tienes una palabra en la boca: Sánchez)」となかなかイタイところをついた。

アジューソは、確かに、今の政権与党のPSOEとの対立軸をはっきりするために、サンチェスを連呼した。これを、逆手に取った、ガビロンドにしては、久々のクリーンヒットだ。

国民党政権はマドリード州政を26年間に渡って担ってきた。今回の知事選でさらに政権の座に居座り続けるか、それとも、PSOEが政権奪取なるか。

第1ラウンドはガビロンドに軍配が上がったが、今後、アジューソのカウンターが決まるかもしれない。また、ほうぼうで、舌戦が始まった。可能な限り、実況していこう。

アジューソ(写真左)とガビロンド(写真右)。