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2/2 ニュースなスペイン語 No tramitar:審議しない

1月31日の小欄でも紹介したように、ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)政権が是が非でも成立させたい恩赦法(ley de amnistía)の審議が早くも下院(Congreso de los Diputados)で頓挫した。

詳細は過去の記事に譲るとして、ここでは、国民党(PP)の不穏な動きを見ておこう。

上院(Senado)では国民党が過半数(mayoría absoluta)を占めているので、恩赦法が下院で可決したとしても、上院での審議を、(いたずらに)引き伸ばす作戦に出るだろうということは、すでにいくつかの小欄でも紹介してきたのだが……

国民党の報道官(portavoz)ボルハ・センペル(Borja Sémper(写真))は、上院の法律家グループ(letrados de la Cámara)に、万一、恩赦法の審議を拒否したときの影響(las consecuencias de impedir la tramitación de la ley de amnistía)について問い合わせていることを明らかにした。

審議引き伸ばしではなく、もはや審議そのものをしないとどうなるか――。

こんなことを法律家グループにたずねているという。

もちろん、国民党とて、何かおかしなこと(cosas raras)するために、審議拒否をするわけではない。

センペル曰く。

国会の上下両院の内規は犯してはならないものである。ただし、疑問を持つ人がいるのなら、我々が保ってきたスタンスを確固たるものにするためも、法律家グループに検討を要請した(Las normas que rigen las instituciones son sagradas. Ahora bien, como hay gente que tiene dudas, se ha pedido un informe para que avale la posición que defendemos)。

というのが、いわば、法案審議拒否の大義。

ただ、正規の手続きの中でそうした疑問を明らかにしてゆけば良いんじゃないかしらん、と小生は思うのだが…

国民党がこうした行動を起こした背景には、共闘パートナーであるボックスの存在が大きい。

というのも、先のセンペルの発表は、ボックスが、もし、上院での審議を国民党が認めた場合、最高裁に訴訟を起こす(se querellaría ante el Tribunal Supremo contra la Cámara Alta si admitía a trámite la amnistía)と表明した後に行われているからである。

しかも、ボックスは、上院議員らは、恩赦法が違憲であることを知っている(conocedores de la falta de constitucionalidad)にもかかわらず、法案審議を始めれば、それは、司法妨害罪に加担することになりかねない(su conducta encajaría en un delito de prevaricación)と言っているのである(なお、下院の法律家グループは、恩赦法を違憲の可能性があるとしている(1月19日の小欄を参照のこと))。

ん〜、筋が通ってるのか通ってないのか分からないが、いつものボックスらしいスゴミがある。

当分、恩赦法を巡る攻防は、上下両院で続きそうだ。

写真は国民党報道官のセンペル。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20240131/mesa-pregunta-tramite-amnistia-senado-semper/15950732.shtml